建設労働者確保育成助成金とは

1. はじめに

 「建設労働者確保育成助成金」(以下、「本制度」とする。)という制度をご存知でしょうか?簡単に説明しますと、中小建設事業主や中小建設事業主団体等が、労働者の雇用改善や技能向上を図るための取組みに要した経費や賃金の一部を国が援助する、という制度となっています。

 そこで、今回は本制度の概要を紹介し、理解を深めていきたいと思います。

2. 建設労働者確保育成助成金の概要

 まず、本制度の概要を確認し、対象となる中小建設事業主及び中小建設事業主団体の内容を見ていきたいと思います。本制度は、13の助成コースによって構成されています。そして、助成コースごとに定められた要件を満たし、決められた措置を実施した場合に、助成を受けることができます。また、助成コースによって、助成額も異なってきます。対象となる中小建設事業主及び中小建設事業主団体とは、次のようになります。

① 中小建設事業主とは

 対象者となる中小建設事業主とは、資本金の額若しくは出資の総額が3億円以下、又は常時雇用する労働者数が300人以下の建設事業主をいいます。ここにいう建設事業主とは、建設労働者を雇用して建設事業を行う事業主のことを指し、労働者を雇わない一人親方などは含みません。なお、建設事業主は雇用保険の適用を受ける必要があります。

② 中小建設事業主団体とは

 中小建設事業主団体とは、一定の要件を満たした建設事業主団体であって、その構成員である建設事業主のうちに占める中小建設事業主の割合が3分の2以上の団体をいいます。

 なお、支給申請日の属する年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納入していない事業主、助成金の不正受給が発覚した場合の公表について同意していない事業主など、一定の要件に該当する事業主等は助成金を受給できない場合があります。

3. 各助成コースの内容

 助成コースには、例えば次のようなものがあります。

① 認定訓練コース

 認定訓練コースには、中小建設事業主が職業能力開発促進法による認定訓練を行った場合に、経費の一部を助成する、経費助成コースと、雇用する建設労働者に有給で認定訓練を受けさせた場合に、賃金の一部を助成する、賃金助成コースがあります。

② 若年・女性労働者向けトライアルコース

 このコースは、平成29年4月に新設されています。建設業務の経験不足などから、就職に不安のある若年者(35歳未満)や、建設業にあまりいない女性を対象としてトライアル雇用を行う場合に、事業主が適切な指導・監督を行えるようにその費用の助成を行い、トライアル雇用終了後の常用雇用への移行を促すことで、若年者・女性労働者の確保を図ることを目的としています。内容としては、一定の要件を満たした建設事業主が、若年者又は女性を建設技能労働者等として一定期間試行雇用し、トライアル雇用助成金の支給決定を受けた場合に、1人1ヶ月当たり最大4万円(最長3ヶ月まで)の助成を受けることができるというものになっています。

 各助成コースの利用にあたっては、提出期限までに申請をする必要がある点や、助成金の支給に関して提出した書類を一定期間保存(支給決定日から起算して5年間)する点、助成コースごとに要件が異なる点などに注意が必要です。

4. おわりに

 建設業における技能労働者は、他産業と比較すると高齢化が進んでいると言われており、継続的な成長を果たしていくために人材の確保や育成が重要な課題であると言われています。そのような背景から、建設業の人材確保、あるいは育成に向けてこのように多様な助成金制度が設けられているものと考えられます。

 今回は一部の助成コースしか取り上げることができませんでしたが、他にもいくつかあります。中小建設事業主や中小建設事業主団体に該当し、若い人材が不足している、技能訓練や認定訓練を行う予定があるという方は、一度本制度の採用を検討してみてはいかがでしょうか。


maekawa_100 執筆者 
汐留パートナーズグループ
汐留パートナーズ株式会社 代表取締役
公認会計士(日米)・税理士 前川 研吾 氏

北海道大学経済学部卒業。公認会計士(日米)・税理士。
公認会計士試験合格後、新日本有限責任監査法人監査部門にて、建設業、製造業、小売業、金融業、情報サービス産業等の上場会社を中心とした法定監査に従事。
また、同法人公開業務部門にて株式公開準備会社を中心としたクライアントに対する、IPO支援、内部統制支援(J-SOX)、M&A関連支援、デューデリジェンスや短期調査等のFAS業務等の案件に数多く従事。
2008年4月、27歳の時に汐留パートナーズグループを設立。
税理士としてグループの税務業務を統括する。

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