i-Constructionとは?~国交省が描く建設産業の未来~

1. はじめに

 国土交通省(以下、国交省)は2015年12月に「ICT技術の全面的な活用」により建設現場の生産性向上を目指す取り組み「i-Construction」の導入を公表しました。これは、調査・測量から設計・施工・維持管理までのあらゆるプロセスで、ICTの活用をはじめとした様々な分野の産学官が連携して、IoT、人工知能(AI)などの革新的な技術の導入を進めることで、生産性が高く魅力的な新しい建設現場を創出することを目的とした新たな取り組みです。
 今回は、i-Constructionが推進されることで建設現場がどのように変化するか、国交省の描く建設産業の未来についてご紹介したいと思います。

2.i-Constructionが目指すもの

 国交省が公表した資料によれば、i-Constructionの目指す建設産業を次のように掲げています。

  • ● 一人一人の生産性を向上させ、企業の経営環境を改善
  • ● 建設現場に携わる人の賃金の水準の向上を図るなど、魅力ある建設現場へ
  • ● 建設現場での死亡事故ゼロに
  • ● 「きつい、危険、きたない」から「給与、休暇、希望」を目指して

 また、これらの目指すべきゴールに向けて、3つの取り組みを掲げています。

  • ● ICT技術の全面的な活用
  • ● 規格の標準化
  • ● 施工時期の平準化

 先進技術(ICT)を全面的に活用しつつ、従来の工法を見直し標準化するという、新と旧の視点で改善案を模索しつつ、単年度予算制度のため年度末に工期が集中し繁忙期となる一方、年度明けは閑散期となるといった産業構造を改革することで、収入が不安定だったり休暇が取り辛いといった職場環境を改善し、i-Construcitonが目指す建設産業の未来を実現しようとしています。

3.ロードマップ

 i-Constructionでは2025年を目途に建設現場の生産性を2割向上することを数値目標としたロードマップが公表されています。

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(国土交通省「i-Construction推進に向けたロードマップ」から抜粋)

 これは縦軸が取組内容、横軸が時間を示しております。縦軸からはICT活用に向けた取組がi-Constructionの要であることが項目数の多寡から読み取れます。また、横軸では、2017年(平成29年)を区切りとして、これまでの基準・発注方式等の見直しを行う整備段階のフェーズが終わり、2018年(平成30年)以降からはPDCAサイクルの適用といった運用フェーズが始まることが読み取れます。

4.i-Construction推進への課題

 国交省はi-Construction推進のための基本方針や推進方策を検討するためi-Construction委員会を設置し議論を重ねてきました。2016年4月には当委員会における審議を踏まえi-Constructionにおける報告書が公表されています。これには「ICTの活用」における課題が浮き彫りになっています。
 まず1点目にはICT建機が十分に普及していないことが挙げられています。これは「ICTの活用」の大前提となるICT建機は通常建機と比較し割高となっていることが要因であると分析されています。2点目はICT土工に対応できる技術者・技能労働者が不足していることが挙げられています。建機の普及のみならずそれを適切に扱える人材が不足しており、今後の拡充も踏まえた教育体制を整備すべきであると指摘がされています。

5.i-Construction推進へ~これまでの取り組みとこれからの歩み~

 前述の課題に対しては、設備投資への支援策や、ICT土工の技術者・技能労働者の拡充のための資格制度を創出するなどで対応をしてきており、徐々にICT土工の実績やノウハウは蓄積されてきているようです。
 これらの生産性向上といった取り組みは建設産業のみならず、今後は全ての産業で巻き起こっていくものと思われます。将来的にはi-Construction の3つの取り組み以外にも広く展開することで目標とする生産性向上をさらに引き上げていくと共に、急速に進化する新技術を建設現場にいち早く導入できるよう幅広い視座に立って柔軟に対応することが、これからも長く求められていくものと思われます。


maekawa_100 執筆者 
汐留パートナーズグループ
汐留パートナーズ株式会社 代表取締役
公認会計士(日米)・税理士 前川 研吾 氏

北海道大学経済学部卒業。公認会計士(日米)・税理士。
公認会計士試験合格後、新日本有限責任監査法人監査部門にて、建設業、製造業、小売業、金融業、情報サービス産業等の上場会社を中心とした法定監査に従事。
また、同法人公開業務部門にて株式公開準備会社を中心としたクライアントに対する、IPO支援、内部統制支援(J-SOX)、M&A関連支援、デューデリジェンスや短期調査等のFAS業務等の案件に数多く従事。
2008年4月、27歳の時に汐留パートナーズグループを設立。
税理士としてグループの税務業務を統括する。

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