進むi-Construction建設現場ドローン活用事例

東京
2017/06/13

2017年5月16日に開催しましたトライポッドワークス株式会社 代表取締役社長 佐々木賢一氏の「進むi-Construction建設現場ドローン活用事例」セミナーについてレポートいたします。

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映像解析とドローンを組み合わせ、建設業の視覚化・効率化に貢献

【目次】
◆映像解析で何ができるか  
 -機械的な仕組みとセンサーがドローンの安定飛行を実現  
 -ダム、橋梁、トンネル、高層ビルなどの安全点検で威力を発揮  
 -フルCGに匹敵する美しさ。ドローンとデジタルデータが価格革命をもたらした  
 -i-Constructionが建設業界にもたらすもの  
 -タイムラプス機能で工事の進捗状況が一目瞭然、施工管理をサポート  
 -品質の担保、報告の真贋(しんがん)のエビデンス映像を提供  
 -重機をトラッキングして数値化し、稼働状況をレポート  
 -水位をチェックし、しきい値を超えたら、責任者の携帯にアラームを  
 -農業:変化をとらえる機能を生かした植物の育成状況分析
◆ドローンに何ができるか  
 -点検業務:定点観測しながら、過去の映像との違いを検知できる  
 -点検業務:ドローンは点検業務の無人化にも力を発揮  
 -ドローンは電池や電波が切れそうになったら、自動的に戻ってくる  
 -航空法が改正され、ドローンを含む無人航空機の飛行ルールが定められた  
 -測量:必要な写真・映像を安価かつスピーディーに手に入れることができる  
 -施工管理:同じルートで写真をとれば、建造物が出来上がっていくプロセスがわかる  
 -リクルート用動画:ダイナミックな建設現場、職人の魅力を伝えたい

 「空の産業革命」と呼ばれるドローンは静止画・動画の撮影だけでなく、輸送や監視、農薬散布、プロモーション、エンタテインメントなど、さまざまなシーンで使われるようになりました。今回は映像技術に定評があるトライポッドワークスの佐々木賢一社長を講師に迎え、建設業の新しい潮流であるi-Constructionの方向性・メリット、映像解析とドローンの建設業での活用事例・将来の可能性などを語っていただきました。

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▲ トライポッドワークス株式会社
  代表取締役社長 佐々木賢一氏

映像解析で何ができるか

機械的な仕組みとセンサーがドローンの安定飛行を実現

 最初にダムの画像をご覧ください。これは宮城県の鳴子ダムで、2016年夏、土木遺産に指定されました。日本で初めて日本人だけの手でつくられたダムです。毎年ゴールデンウイークに放水するのですが、その様子をドローンで撮ってきました。

【4K空撮】鳴子ダム すだれ放流

 この様子を上から見ようとすると、通常はヘリコプターや飛行機をチャーターせざるを得ません。ただ、ヘリコプターも飛行機も低空では飛べない。その点、ドローンは低空も得意で、対象に接近して撮ることができます。

 山あいにあることもあって放水しているときは気流が安定せず、接近しすぎると引き込まれます。このときも結構風が吹いていたのですが、最近のドローンは、すごく安定しています。機械的な仕組みに加え、センサーの性能が上がったことで、自動的に姿勢を制御しています。

 以下の動画はまた別なダムでのものですが、これは座標や高度、速度などドローンの飛行に必要なデータをあらかじめインプットして自動飛行をさせ、施設の点検を想定した実験の映像です。

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ドローンの活用:フライトデータと映像の融合 映像診断による巨大設備点検業務システム(弊社開発中)

ダム、橋梁、トンネル、高層ビルなどの安全点検で威力を発揮

 ダム、橋梁、トンネル、高層ビルなどの巨大な建築物は、どうしても高さがあり、点検しようとすると、足場を組んだり、クレーンなどの大型の設備を準備したりする必要がありました。期間もコストも非常にかかっていました。

 ドローンを使えば、①高さのあるところも緻密に点検できますし、②コストが安い、③スピーディーに点検が可能(点検したいときに点検できる)、④なにより作業員を危険にさらさないなどのメリットがあります。

フルCGに匹敵する美しさ。ドローンとデジタルデータが価格革命をもたらした

 映像がデジタルになったおかげで、いろいろな加工ができるようになりました。今までの映像はアナログのデータが中心でした。ところが、ここ4~5年でITカメラが登場、データがデジタルになりました。デジタルになるとコンピューターに取り込み、ソフトウェアでいろいろな解析をしたり、編集したりすることができます。

 2017年5月、東北大学が新キャンパスを開設し、記念式典が行われました。式典で当社が制作した新キャンパスの動画が流れましたが、実は、まだ建設されていない校舎も含まれています。マンションのチラシによくある、街の俯瞰(ふかん)図に建設予定のマンションが描かれているようなイメージです。それを動画で表現しました。もちろん、これまでもフルCGでやれば、いくらでもできましたが、莫大なお金がかかりました。

 今回は建設会社からCADの図面をもらい、そこからCGを起こし、ドローンで撮った映像と同期させて、もう1回映像に直しました。フルCGに比べると格段に安い。ドローンとデジタルデータが価格革命を実現しました。

i-Constructionが建設業界にもたらすもの

 i-Constructionに関していえば、国土交通省主導で「建設業でもICTを活用しよう」という働きかけが行われています。本質的には業界の安全性の向上やコスト削減に結びつく動きで、人手不足をICTで補ったり、顧客の満足度向上、施主への説明に役立てたり、いろいろなアイデアが具体化されています。

 会社紹介 

セキュリティ事業を軸に映像事業にも進出、「現場の見える化」に取り組む 弊社は2005年11月の創立。創業以来、セキュリティ事業を手がけています。例えば、電子ファイルや電子メール、ネットワークのセキュリティなどセキュリティ技術の開発、セキュリティソリューション製品の開発にあたってきました。

 本社が仙台で、東北大と、いろいろな研究開発も行ってきました。この5~6年、映像解析系の依頼が多く、ノウハウがたまったこともあって3年前に映像系の事業を立ち上げました。映像解析というと小難しい感じがしますが、要は情報の見える化、現場の見える化です。せっかく撮影したのですから、それを後々も活用しましょうというのが弊社の提案です。

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トライポットワークスのネットワークカメラソリューション

タイムラプス機能で工事の進捗状況が一目瞭然、施工管理をサポート

 具体的に建設業に何が役立つか。固定カメラを使ったタイムラプスという技術があります。要は早送りです。例えば、ある日の工事の進捗状況を30秒~1分に短縮して、ざっと見ることができます。映像は非常にわかりやすいのですが、1日の工事を1倍速で見たら1日かかってしまいます。そんなに時間をかけるわけにはいかない。また、ある意味、情報が多すぎて、見る人にとって意味のあるもの以外も全部映ってしまっています。

 ところが、例えば杭を抜く作業を早送りで見ると、非常にわかりやすい。工事の見える化を実現しました。仙台で津波が来たところの防潮堤の工事も、ずっと撮影しました。半年間を3分の映像にしたところ、工事の進捗状況がひと目でわかりました。しかも、防潮堤の内部構造も一目瞭然。まずは建設会社の施工管理をサポートします。

ビデオ解析システム「ViewCamStation」タイムラプス サンプル映像(土木建設バージョン)

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映像解析サービス事例:土木建設分野 「タイムラプス機能」による工程管理、安全管理、品質担保

品質の担保、報告の真贋(しんがん)のエビデンス映像を提供

 施主側にとってもメリットは大きい。品質の担保、報告の真贋(しんがん)のエビデンスとなる映像が残るわけです。完成したときの、もしくは途中のある1点だけではなく、工事のプロセスが見える化されました。杭打ちデータの偽装事件などは起こりようがなくなります。国土交通省からも「エビデンスとして、かなり有効ではないか」と注目をいただいています。

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映像解析サービス事例:土木建設分野 「タイムラプス機能」による工程管理、安全管理、品質担保

重機をトラッキングして数値化し、稼働状況をレポート

 私どもは動きをトラッキングすることを得意としています。重機や人をずっと追いかけていったり、重機か人かを区別して認識したりといった技術を有し、物体検知機能やアクセント機能、モーション検知機能などを提供しています。

 工事をずっと撮影していますから、そこには重機も映っています。これを数値化して、重機の稼働状況をレポートすることも可能です。

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映像解析サービス事例:土木建設分野 物体検知機能 アクセント機能 モーション検知機能

水位をチェックし、しきい値を超えたら、責任者の携帯にアラームを

 河川工事などを請け負うと、河川の水位の変化が気になります。映像システムを導入し、あらかじめ「しきい値」を決めておけば、それに対して水位が上なのか下なのかを映像から判定します。しきい値を超えたら、責任者の携帯を鳴らすといった機能も付加できます。

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様々な映像解析機能 水位検知機能

農業:変化をとらえる機能を生かした植物の育成状況分析

 建設業に直接、関係はしていませんが、変化をとらえる機能を生かしたサービスが植物の育成状況分析です。植物は昼間、光合成をして、夜、成長しています。植物を見ていても成長しているかどうかわかりませんが、早送りすると結構動いているのがわかります。先っぽが動き回っている。夜間ですから赤外線で撮影し、動きに色をつけて(アクセント機能)、農家の人に早送りで見てもらうサービスです。元気なところ・場所が一目瞭然でわかります。

 農家も広い耕作地を少数で朝から晩まで見回らなければいけません。このサービスを導入すれば、元気なところ・場所は後回しにして、ちょっと気になるところ・場所を優先することができる。農作業の効率化、作物の品質維持に大いに役立っています。

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映像解析サービス事例:農業分野 タイムラプス+アクセントによる育成状況分析

ドローンに何ができるか

点検業務:定点観測しながら、過去の映像との違いを検知できる

 私どもの映像事業は固定のカメラで撮った映像を、建設業や農業の皆さんに加工して提供し、役に立ててもらってきました。3年前にドローンに出合い、映像解析とドローンがタッグを組めば、さまざまなことができることに気づきました。

 ドローンはプログラムしておけば、同じところを何回でも飛びます。いわゆる定点観測は通常、固定したカメラでずっと撮っていきますが、ドローンを使えば動きながら定点観測できるのではないかと考えました。定点観測しながら、過去の映像との違いを検知できるわけです。これを利用したサービスとして、農業ではドローンによる圃場管理を手がけています。

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ドローンの活用:農業分野 ドローンによる圃場管理

点検業務:ドローンは点検業務の無人化にも力を発揮

 ドローンは点検業務の無人化にも力を発揮します。今一番、問題なのは施工の工事よりもメンテナンス・保守がどんどん増えていることです。国にしても地方自治体にしても、施工には予算がつくが、補修や点検は、どうしても軽視されます。

 人はいない、予算もつかない。その中で点検業務をやるとしたら、人手を介さない、もしくは人の労力が減る工夫をしなければいけません。ドローンは、そうした問題に非常に有効で、弊社ではフライトデータと映像を融合させた巨大設備点検業務システムの開発に取り組んでいます。

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世界のドローン市場

ドローンは電池や電波が切れそうになったら、自動的に戻ってくる

 ドローンに一番似ているのはラジコンの無人ヘリコプターです。農薬を散布する無人ヘリコプターは昭和40年代から使われています。非常に高価で、GPS付きだと1,500万円ぐらいします。操縦は非常に難しい。

 ドローンと無人ヘリコプターの一番大きな違いはヘリコプターが手動なのに対し、ドローンは、ほぼ自動だということです。無人ヘリコプターはホバリングさせるのがすごく難しいのです。風の影響を見極めなければいけませんし、重心が安定しませんから、常にスティックを動かし続けなければいけない。

 ところが、ドローンは手を放すと自動的にホバリングします。重心や風の影響はドローン自体がリアルタイムセンシングして、機体のコントロール部にフィードバックして、空中の1点に静止することができます。

 今のドローンは接近しても安全です。これまでは制御が必要で、近づくと結構危なかったのですが、最近のドローンは安心して接近できるようになりました。自動で戻ってくる機能もユーザーにはありがたい。電池や電波が切れそうになったら、自動的に戻ってきます。どこに飛んで行ったかわからなくなったときは「Go Homeボタン」を押せば建造物などは回避して元の地点に戻ってきます。

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ドローンはIT産業であり、まさに黎明記

航空法が改正され、ドローンを含む無人航空機の飛行ルールが定められた

 実際にドローンを使用する際、問題になるのは航空法です。2015年12月10日、航空法が改正され、ドローンを含む無人航空機の飛行ルールが定められました。飛行の際に許可を必要とする空域として「空港周辺や航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがある空域」「人口密集地域」が挙げられています。

 人口密集地域は1キロメートル四方に4,000人以上住んでいる地域のことです。首都圏だと一部の山間地域と海岸地域を除けば、ほぼ全域が人口密集地域にあたります。首都圏でドローンを飛ばすためには国土交通省の許可を必要とするわけです。

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改正航空法の概要<1>

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改正航空法の概要<2>

測量:必要な写真・映像を安価かつスピーディーに手に入れることができる

 ドローンの利用法として皆さんに一番身近なのは、やはり測量です。航空測量は昔からある技術ですが、セスナやヘリコプターをチャーターしなければいけなかったものが、ドローンを使えばインプットする写真を安価かつスピーディーに手に入れることができます。

 秩父の採石場をドローンで撮影し、3D化しました。こうした3D写真を作成するためには真上からの写真を何百枚と撮影しなければなりません。従来は、たいへんな手間がかかりましたが、ドローンを使えば簡単です。600メーター四方の採石場を4往復させて、300枚の写真を撮りました。時間は5~6分ですね。その写真をPhotoScanを使って読み込み、点群合成のソフトに突っ込めば3D写真が完成します。

 この会社の要望は3つあって、1つは、あまり人気がある業種ではないので、プロモーションビデオをつくってほしい、2つは、どのぐらい石を削ったか、緻密に把握したい、3つは点検業務に役立てたいということでした。

 石灰岩の採石場なので、すごく硬い岩盤なのですが、一部に薄い砂の層があり、雨が降ると崩れる可能性があります。点検を頻繁にしたかったが、危険な場所なので作業員が見に行くことができない。ドローンで、なんとかならないかという要望でした。この3つの要望ともドローンと映像解析の技術を駆使して納得いただける結果を出しました。

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ドローンの活用:土木分野 赤外線カメラによる劣化検知

施工管理:同じルートで写真をとれば、建造物が出来上がっていくプロセスがわかる

 ドローンを利用した施行管理も可能です。月に1回、ドローンを飛ばし、建設現場を撮影すると、ドローンが1周する間に建物ができていく動画なども製作できます。毎回同じところから飛んで、同じ角度から写真をとれば、建造物が出来上がっていくプロセスがわかります。

 最近、建設会社の現場に行く機会が多くなり、測量、施工管理、定点観測などにニーズがあることがわかってきました。

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ドローンの活用:土木分野 事例)建設現場での施工管理

リクルート用動画:ダイナミックな建設現場、職人の魅力を伝えたい

 最近、多くなっているのがリクルート用の動画を撮ってほしいという要望です。現場はダイナミックでカッコいいのですが、一般の人は見られない。職人の方々の魅力も含めて動画にできないかとの依頼も増えてきました。

 どういう仕事内容で、何を目指して工事に携わっているのか。社員だけではなくて、下請けの人たちにもインタビューして撮影しました。建設業界ではリクルートやプロモーション、新人に対する教育用の動画ニーズが、すごく強いと感じます。

 ドローンがもたらした最大のイノベーションは人間が空間を使えるようになったことです。従来はXY軸の2次元平面で生きてきました。高層ビルなどは高さはありますが、上下の移動は簡単ではありません。ところが、ドローンは3次元空間を自在に移動できます。しかも、飛んでいるのは単なる機械ではなく、コンピューターです。まだまだ本当の機能は見つけられていない。今後は空間を自在に飛び回ることによるイノベーションが次々に生まれることは間違いありません。私どもは、その先駆を切りたいと思っています。

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 講師ご紹介 

トライポッドワークス株式会社
代表取締役社長 佐々木 賢一 氏

1967年仙台市生まれ。1990年電気通信大学卒、日本総合研究所入社。1994年日本オラクルにエンジニアとして入社後、2000年東北支社社長就任。2005年に同社を退職し、トライポッドワークスを創業。 新規事業として推進しているIoT事業では、映像解析技術を利用した土木や農業向けの映像サービスを展開している。2年前から力を入れているドローン事業は、企業や自治体、大学など多くの顧客を抱えており、IT企業ならではの自動飛行プログラムの活用などで、設備点検や災害対策など各種実証実験にも多数関わっている。

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