地方公共団体の事例に学ぶ施工時期の平準化について

1.はじめに

 昨今、地方公共団体による公共工事の発注について、施工時期の平準化へ向けた取り組みが行われつつあります。建設業界の発注件数は、閑散期と繁忙期とで2倍の差があるとされ、それが人不足や過重労働及び余剰人員を始めとした建設業界が抱える諸問題の一因となっていました。そうした諸問題を、計画的発注により緩和しようというのが、「施工時期の平準化」の背景です。

 本コラムでは今年5月に国土交通省が公表した「地方公共団体における平準化の取組事例について」(以下、公表資料)を引用しつつ施工時期平準化についてみていきたいと思います。

2. 施工時期の平準化のメリット

 施工時期の平準化には、受発注企業、そして労働者の三方にメリットがあります。

 受注側としてはニーズの波に左右されず、余裕のある工期を敷くことができ、また波の少ない受注により安定した業績を上げることができる点があります。その他にもピークに合わせた機械保有が不要となり、維持コストの削減といったメリットもあります。

 これに伴って、労働者も安定した収入を得ることができ、繁忙期が平準化されることにより、休日の確保など処遇改善ももたらされます。
 また、発注をする担当者側にとっても、昨今増えてきている入札不調へのリスクを低減することが出来ます。

3.余裕期間制度とは

 施行時期平準化の施策の1つに「余裕期間制度」があります。これは、工期の30%を超えず、かつ、4ヶ月を超えない範囲内で余裕期間を設定して発注し、工事開始日もしくは工事完了期限日を発注者が指定、または、受注者が選択できる制度です。余裕期間制度には、大きく分けて次の3つの方法があります。

  • ① 発注者指定方式:発注者が工事の始期を指定する方法
  • ② 任意着手方式:発注者が示した工事着手期限までの間で、受注者が工事の始期を選択する方法
  • ③ フレックス方式:発注者があらかじめ設定した全体工期(余裕期間と工期をあわせた期間)の内で、受注者が工事の始期と終期を決定する方法

以下に余裕期間制度の実際の活用状況について、事例を交えてご紹介していきます。

4.余裕期間制度の取組状況

 上記の通り、余裕期間制度においては、発注者が指定する一定期間内で受注者が工事開始日等を柔軟に選択できるようにすることで、計画的な発注による工事の平準化や、受注者にとって効率的で円滑な施工時期の選択を可能とします。公表資料によるとフレックス工期制の実施要領を制定し、導入している例(北海道、和歌山県)、フレックス工期契約の適用範囲を拡大している例(千葉県)、モデル工事の実施(新潟県)、工事着手前に余裕期間を設定し、受注者が工事の始期を選択している例(山形県、岩手県、静岡県、三重県、兵庫県、島根県、岡山県、愛媛県、高知県)など、全国的に幅広く取り組まれていることがわかります。このように余裕期間制度を導入している都道府県は平成29年2月時点では47団体中30団体でありましたが、平成30年2月時点では37団体へと増加しています。

5. おわりに

 この取組は地方公共団体のものではありますが、地方公共団体からのニーズが平準化されることによって、民間発注のピークと公共工事のピークがぶつかることによる人不足や過剰労働は勿論、民間発注と公共工事の同時低減による余剰人員という人に纏わるリスクを低減することが出来ます。
 民間企業がこの取組をそのまま用いることは容易ではありませんが、工期問題への一つの改善案として転用できる部分があるのではないでしょうか。

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