登録基幹技能者について

1.はじめに

 平成30年4月1日より、登録基幹技能者が主任技術者の要件を満たすものとして認められることとなりました。よって今回はそもそも登録基幹技能者とは何か、これによるメリット等について見ていきたいと思います。

2.登録基幹技能者とは

 登録基幹技能者とは、熟達した作業能力、豊富な知識や経験、優れたマネジメント能力を備え、専門工事業団体の資格認定を受けた技能者をいい、国土交通大臣が登録した機関が実施する登録基幹技能者講習を修了した者をいいます。登録基幹技能者講習を受講するためには、次の3つの要件を満たすことが必要です。

  • ① 基幹的な役割を担う職種で10年以上の実務経験
  • ② ①のうち、3年以上の職長経験
  • ③ 実施機関が定める資格の保有

 登録基幹技能者は現場において以下の役割を担っています。

  • ① 現場の状況に応じた施工方法等の提案、調整等
  • ② 現場の作業を効率的に行うための技能者の適切な配置、作業方法、作業手順等の構成
  • ③ 生産グループ内の技能者に対する施工に係る指示、指導
  • ④ 前工程・後工程に配慮した他の職長との連絡・調整

 即ち、登録基幹技能者は現場において上級職長として中核をなす存在であるといえます。

3.登録基幹技能者講習と建設業の種類

 一口に登録基幹技能者といっても、職種により多くの種類があり、受講すべき登録基幹技術者講習も職種毎に設けられています。以下に登録基幹技能者講習別に主任技術者として認められる建設業の種類を記載します。

登録基幹技能者講習 建設業の種類
登録電気工事基幹技能者講習 電気工事業、電気通信工事業
登録橋梁基幹技能者講習 鋼構造物工事業、とび・土工工事業
登録造園基幹技能者講習 造園工事業
登録コンクリート圧送基幹技能者講習 とび・土工工事業
登録防水基幹技能者講習 防水工事業
登録トンネル基幹技能者講習 とび・土工工事業
登録建設塗装基幹技能者講習 塗装工事業
登録左官基幹技能者講習 左官工事業
登録機械土工基幹技能者講習 とび・土工工事業
登録海上起重基幹技能者講習 しゅんせつ工事業
登録PC基幹技能者講習 とび・土工工事業、鉄筋工事業
登録鉄筋基幹技能者講習 鉄筋工事業
登録圧接基幹技能者講習 鉄筋工事業
登録型枠基幹技能者講習 大工工事業
登録配管基幹技能者講習 管工事業
登録鳶・土工基幹技能者講習 とび・土工工事業
登録切断穿孔基幹技能者講習 とび・土工工事業
登録内装仕上工事基幹技能者講習 内装仕上工事業
登録サッシ・カーテンウォール基幹技能者講習 建具工事業
登録エクステリア基幹技能者講習 タイル・れんが・ブロック工事業、とび・土工工事業、石工事業
登録建築板金基幹技能者講習 板金工事業、屋根工事業
登録外壁仕上基幹技能者講習 塗装工事業、左官工事業、防水工事業
登録ダクト基幹技能者講習 管工事業
登録保温保冷基幹技能者講習 熱絶縁工事業
登録グラウト基幹技能者講習 とび・土工工事業
登録冷凍空調基幹技能者講習 管工事業
登録運動施設基幹技能者講習 とび・土工工事業、舗装工事業、造園工事業
登録基礎工基幹技能者講習 とび・土工工事業
登録タイル張り基幹技能者講習 タイル・れんが・ブロック工事業
登録標識・路面標示基幹技能者講習 とび・土工工事業、塗装工事業
登録消火設備基幹技能者講習 消火施設工事業
登録建築大工基幹技能者講習 大工工事業
登録硝子工事基幹技能者講習 ガラス工事業

4.登録基幹技能者制度のメリット

 登録基幹技能者は経営事項審査の評価対象となっており、また、公共工事発注時の総合評価における加点評価対象、及び元請企業における優良職長制度の手当支給対象ともされています。つまり登録基幹技能者制度により、技術者の信頼性・専門性を外部に対しても明確かつ公平に提示できるようになるといったメリットが考えられます。

 また登録基幹技能者が主任技術者の要件を満たすものと認められたことに対しては以下のメリットが考えられます。

  • ① 従来、主任技術者の実務経験などの要件を書面確認する必要があり、各個人の実務経験の具体的な内容を確認することは極めて困難で、相当の手間もかかっていた。登録基幹技能者が主任技術者の要件を満たすようになることで、主任技術者に相当の技術力が身についていることの証明となり、当該確認の手間が軽減する。
  • ② 登録基幹技能者資格が主任技術者につながることが明確となり、技能労働者のキャリアアップの道筋が明確になる。

5. おわりに

 今回は種々の資格が存在する建設業の中で、登録基幹技能者についてみてみました。今後修繕工事等、新設工事と比べて施工において不確定要素が多く、難易度が高い工事が増大していく中で、臨機応変に対応できる技能力は極めて重要となります。また従来から問題視されている不正工事を排除するためにも、高い能力を有する技術者の育成及び現場への配置は必須のものとなるでしょう。このような背景から、公的資格は技術者の能力評価に有用であり、適切な技術者配置や後継者の育成の道筋を立てる意味でも意義があるものと考えられます。今回取り上げた登録基幹技能者制度はその一部であり、国の技術者制度の再構築はより進んでいくことでしょう。今後も資格制度や検定制度などの改革に注目し、新たな制度を適宜キャッチアップしていく必要があります。


maekawa_100 執筆者 
汐留パートナーズグループ
汐留パートナーズ株式会社 代表取締役
公認会計士(日米)・税理士 前川 研吾 氏

北海道大学経済学部卒業。公認会計士(日米)・税理士。
公認会計士試験合格後、新日本有限責任監査法人監査部門にて、建設業、製造業、小売業、金融業、情報サービス産業等の上場会社を中心とした法定監査に従事。
また、同法人公開業務部門にて株式公開準備会社を中心としたクライアントに対する、IPO支援、内部統制支援(J-SOX)、M&A関連支援、デューデリジェンスや短期調査等のFAS業務等の案件に数多く従事。
2008年4月、27歳の時に汐留パートナーズグループを設立。
税理士としてグループの税務業務を統括する。

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