「建設業界」と一口にいっても「発注」「受注」「調査」「企画設計」「資材調達」「施工」「維持管理」など各々のステージがあり、その担い手も異なっています。その中でゼネコン(ゼネラルコントラクター/General Contractor)とは、元請業者として各種の工事一式を発注者からの直接請負い、工事全体の取り纏めを行う企業をいいます。ゼネコンは工事の総合的な企画、指導、調整だけではなく、建設技術の研究開発を行うなど、日本の建設業界において中核的役割を担っているといえます。
今回はゼネコンのうち、特に大手企業(スーパーゼネコン)についての業績比較を行いたいと思います。
ゼネコンは、売上規模によって、一般に以下のように分類することができます。
区分 | 売上高 | 企業名 | 社数 |
---|---|---|---|
大手(スーパーゼネコン) | 1兆円超 | 大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店 | 5社 |
準大手 | 2000億円超 | 長谷工コーポレーション、戸田建設、五洋建設、前田建設工業、三井住友建設、安藤ハザマ、熊谷組、西松建設、東急建設、奥村組、東亜建設工業 | 11社 |
中堅 | 2000億円未満 | 鉄建建設、東洋建設、福田組、大豊建設、淺沼組、青木あすなろ建設、ナカノフドー建設、東鉄工業、飛鳥建設、銭高組、ピーエス三菱、大本組、名工建設、矢作建設工業、松井建設、若築建設、北野建設、新日本建設、不動テトラ、大末建設、第一建設工業、植木組、徳倉建設、南海辰村建設 | 24社 |
参考:建設経済研究所『2019年3月期(2018年度)主要建設会社決算分析』
上表の通り、スーパーゼネコンとは年間売上高が1兆円超のゼネコンのトップに君臨する企業をいい、大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店がこれに該当します。これらの企業は施工工事の営業だけではなく、設計部門、エンジニアリング部門および建設技術の研究開発部門を持つなど、建設業界を牽引する存在といえます。
スーパーゼネコン各社の2014年度から5年間にわたる売上高推移をグラフ化すると以下のようになります。
出典:SPEEDA
2020年に迫った東京オリンピック・パラリンピックに関わる建設工事、主要都市部の再開発、東日本大震災を初めとした地震や台風等災害に関わる復旧工事など、昨今の建設業界に対する需要が高まっている背景からも、各社の売上高は概ね堅調に推移しているといえます。その中でも大林組が継続してトップの座をキープしています。
では売上高と同様に重要な指標と言える営業利益と営業利益率について最新の2018年度のデータを基にグラフ化してみます。
出典:SPEEDA
先ほどの売上高と併せて営業利益も大林組がトップとなっています。但し、注目すべきは営業利益率を見ると大成建設が圧倒的に高く、売上高では4位でありますが、営業利益では大林組に次ぐ2位となっていることがわかります。
今回は、建設業界における大手、スーパーゼネコン5社について、売上高と営業利益といった業績面から比較をしてみました。次回は、企業内部の人にスポットを当て、また異なった角度である労働環境面から各社比較分析してみたいと思います。
「建設業界大手スーパーゼネコンの業績比較」を
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