マイナンバーカードと建設キャリアアップシステム

マイナンバーカードと建設キャリアアップシステム

1.はじめに

 昨今、政府は行政のデジタル化を進めるべく、定期的に「デジタル・ガバメント閣僚会議」を開催しています。その中で昨年6月には、マイナンバー制度のメリットを実感できるデジタル社会を早期に実現するため、「マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針」が決定されました。ここでは2023年3月末までにマイナンバーカードをほぼ全ての住民が保有し、概ね全ての医療機関等において、マイナンバーカードの健康保険証への利用を目指す等、マイナンバーカードを利活用するための種々の計画が示されています。その中に、2019年4月から本格的な運用が始まった「建設キャリアアップシステム」とマイナンバーカードとの連携も明示されています。今回はマイナンバーカードの現状及び今後の動向と建設キャリアアップシステムとの関係について考えてみたいと思います。

2.マイナンバーカードの現状

 2015年10月にマイナンバー制度が導入され、2016年1月のマイナンバーカード交付開始から4年以上経ちましたが、マイナンバーカードの普及率は人口の約15%弱(2019年11月現在。総務省HP:https://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/#osirase)に留まっています。その主な原因としては、マイナンバーカードの日常生活への必要性の乏しさが挙げられています。即ち、マイナンバーカードは身分証明書として利用できる他、各種行政手続きのオンライン申請、e-Tax等の電子申請、コンビニなどで住民票、印鑑登録証明書などの公的証明書の取得に利用できますが、日常生活における登場シーンは限定的で、現状では国民側のメリットよりも行政側の事務効率化といったメリットの方が大きいといえるかもしれません。

3.マイナンバーカードの今後の動向

 政府が掲げる「マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針」では、様々な場面でのマイナンバーカードの利用が計画されています。以下、表にまとめてみました。

マイナンバーカードの利活用促進計画

項目 主な内容
マイナンバーカードを活用した消費活性化策(マイナポイント) 2020年9月から2021年3月までの7カ月間、マイナンバーカード及び専用のID(マイキーID)と紐付けしたキャッシュレス決済手段に、チャージ等の前払いをした際に、ポイントが上乗せされる制度を実施。ポイント還元率は25%、最大付与ポイントは5千円(前払入金額2万円が上限)。
マイナンバーカードの健康保険証への利用 2021年3月から本格運用し、2022年度中に概ね全ての医療機関で導入予定。
デジタル・ハローワーク・サービスの推進 教育訓練給付金の電子申請の推進、各種申請書類の簡潔化、2022年以降マイナンバーカードのハローワークカードとしての利用、2021年1月以降ハローワークインターネットサービスにて、職業紹介・職業訓練受講の履歴確認、マイナポータルとの連携などオンラインサービスを充実。
デジタル・キャンパスの推進 大学等における職員証・学生証へのマイナンバーカードの活用、事務処理の効率化、マイナンバーカードの教員免許管理への活用。
納税手続のデジタル化の推進 年末調整・確定申告手続に必要となるデータの一括取得、各種申告書への入力・添付の自動化。
建設キャリアアップシステムとの連携 マイナンバーカードでの建設キャリアアップシステムの利用、登録情報の自動入力等、建設キャリアアップシステムとマイナポータルとの連携。
各種カード、手帳等との一体化によるデジタル化の推進 健康保険証利用の他、お薬手帳、ハローワークカード、ジョブ・カード、教員免許状等との一体化、運転経歴証明書、障害者手帳等のマイナンバーカードとの一体化検討、民間サービスにおける社員証や診察券等への活用。
公的サービス等での利用拡大の推進 高齢者向けの公共交通サービスにおける資格確認や精算、検診結果や予防接種情報等の母子保健情報を閲覧できるサービスでの本人確認、大規模音楽・スポーツイベント等でのボランティアの入場管理における本人確認、旅券発給申請における戸籍情報の添付省略等。
マイナンバーカード読み取り対応スマートフォンの拡大 通信事業者や端末メーカー等に対する働きかけにより、いつでもどこでもスマートフォンを用いて公的個人認証サービスを利用できる環境の整備。

4.マイナンバーカードの建設キャリアアップシステムへの利用

 「マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針」では、「マイナンバーカードでも建設キャリアアップシステムを利用できるよう措置するとともに、登録情報の自動入力等、同システムとマイナポータルとの連携を推進する。また、建設キャリアアップシステム等を活用して、外国人建設労働者の適正就労等を推進する。」と明示されています。また2019年12月20日に開催された第6回デジタル・ガバメント閣僚会議にて決定された「デジタル・ガバメント実行計画」においては、マイナンバーカードの建設キャリアアップカードとしての利用への工程について、以下のように示されています。

デジタル・ガバメント閣僚会議(第6回)「デジタル・ガバメント実行計画」
別紙4 マイナンバーカードを活用した各種カード等のデジタル化に向けた工程表から一部抜粋

 今後、計画通りにシステム連携が進めば、キャリアアップカードを持たなくとも、マイナンバーカードにて建設キャリアアップシステムの利用が可能になり、マイナポータルとの連携により、登録事務処理の効率化を始め、活用場面が拡大することが見込めます。しかし、当面はシステム整備等に時間を有し、システム連携がなされたとしても、キャリアアップカードとマイナンバーカードの併用がなされることが予想されます。また政府としても、まずはマイナンバーカードの健康保険証としての利用や、「マイナポイント」を活用した消費活性化策など全国民に影響が及ぶ事項を優先していくでしょう。よって現段階では、技能者は現在の利用手順に従って建設キャリアアップシステムへの登録手続を行い、早期にキャリアアップカードを保有しておくことが良いと思われます。建設キャリアアップシステムへの技能者登録数は16万人を超え(2019年12月末現在。CCUS HP:https://www.ccus.jp/)、登録数は右肩上がりであり、今後もこの傾向は続くでしょう。現行の建設キャリアアップシステムへの登録に加えて、将来のマイナポータルとの連携、及びマイナンバーカード自体の利用側面が高まることを見越して、マイナンバーカードを早期に取得しておくことが得策かもしれません。そうすることで近い将来、システム連携がなされた際に、スムーズな対応ができるでしょう。

5.おわりに

 今回はマイナンバーカードと建設キャリアアップシステムの連携という切り口から、マイナンバーカードの現状や今後についてみてみました。今後数年間で、行政手続きを始めとした各種サービスのデジタル化は急速に進んでいくでしょう。IT化に伴い、各種制度・手続は随時変更になることが予想されますので、情報収集には今まで以上に気を配る必要があるでしょう。

maekawa_100 執筆者 
汐留パートナーズグループ
汐留パートナーズ株式会社 代表取締役
公認会計士(日米)・税理士 前川 研吾 氏

北海道大学経済学部卒業。公認会計士(日米)・税理士。
公認会計士試験合格後、新日本有限責任監査法人監査部門にて、建設業、製造業、小売業、金融業、情報サービス産業等の上場会社を中心とした法定監査に従事。
また、同法人公開業務部門にて株式公開準備会社を中心としたクライアントに対する、IPO支援、内部統制支援(J-SOX)、M&A関連支援、デューデリジェンスや短期調査等のFAS業務等の案件に数多く従事。
2008年4月、27歳の時に汐留パートナーズグループを設立。
税理士としてグループの税務業務を統括する。

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