建設業向け新型コロナウイルス関連支援策について

建設業向け新型コロナウイルス関連支援策について

1.はじめに

 新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響は甚大なものとなっています。飲食業や宿泊業での影響が多く取り上げられていますが、建設業も例外ではなく、工期の延期等を始めとして様々な影響が生じています。政府は全国全業種に広がる経済的打撃を緩和すべく、助成金・特別融資等、多くの支援策を打ち出しています。今回その中から、建設業で利用可能なものを取り上げていきます。

 なお、新型コロナウイルス関連の支援策に関わる情報は、日ごとにと更新されておりますので、当コラム内でも項目毎に関連するリンクを記載するようにしています。制度ご利用の際には、最新の情報をご確認の上、お手続き等頂くようにお願い致します。

2.給付金関係 【持続化給付金】

 持続化給付金とは、営業自粛等により特に大きな影響を受けている事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧となる、事業全般に広く使える給付金をいいます。建設業界においても、前年度と比較して業績が悪化した中小法人や個人事業主(一人親方)等は、対象になる可能性があります。具体的な対象者や給付額、必要書類等は以下の通りです。

持続化給付金

対象者 ①資本金等の額が10億円未満、又は常時使用する従業員の数が2,000人以下である法人等
②2019年以前から事業により事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思があるもの
③2020年1月~12月の期間で、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月(以下、対象月)が存在するもの
給付額 前年度年間事業収入から、対象月の月間事業収入に12を乗じて得た金額を差し引いたもの(中小法人等は200万円、個人事業者等は100万円を上限)
必要書類 中小法人等 前年度確定申告書類 確定申告書別表一(1枚)
法人事業概況説明書(2枚)
対象月の売上台帳等 対象月の事業収入額がわかる経理ソフト抽出データ、Excelデータ、手書きの売上帳など
通帳の写し 銀行名・支店番号・支店名・口座種別・口座番号・口座名義人が確認できるもの
個人事業者等 前年度確定申告書類 青色申告 確定申告書第一表(1枚)
所得税青色申告決算書(2枚)
白色申告 確定申告書第一表(1枚)
対象月の売上台帳等 対象月の事業収入額がわかる経理ソフト抽出データ、Excelデータ、手書きの売上帳など
通帳の写し 銀行名・支店番号・支店名・口座種別・口座番号・口座名義人が確認できるもの
本人確認書の写し 運転免許証や個人番号カードなど
申請期間 2020年5月1日~2021年1月15日
申請方法 原則、Web上での申請「電子申請」。電子申請が困難な場合、「申請サポート会場」にて申請可。
関連リンク 中小企業庁 持続化給付金https://www.jizokuka-kyufu.jp/

3.雇用対策関係 【雇用調整助成金】

 雇用調整助成金とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、労働者の雇用維持を図った場合に、休業手当等の一部を助成するものです。これについても、全国全業種の事業主を対象に特例措置がとられ、助成の拡充や受給要件を緩和、手続きの簡素化が図られています。以下、概要となります。


雇用調整助成金の概要

(出典)厚生労働省HP 雇用調整助成金 を一部加工
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

補足説明

*1
生産性指標(生産量(学)や販売量(額)など雇用の変動と密接に結びつく指標)について、最近1ヵ月間の値が前年同月比5%以上減少していること。比較する月がない又は要件を満たさない場合、計画書提出の前々月までの任意の月にて比較可能。
*2
クーリング期間とは、過去に雇用調整助成金の支給を受けたことがある場合に、前回の支給対象期間が満了日から1年を経過していないと、支給を受けられないという期間。
*3
従来は事業所等の労働者が一斉に休業する必要があったが、事業所内の部門、店舗等施設毎の休業も対象とする等の条件緩和。
*4
支給対象となる休業等から時間外労働等の時間を相殺して支給すること(残業相殺)を当面停止。

4.資金繰り関係

①民間金融機関による信用保証付融資

セーフティネット保証4号・5号の対象拡大、及び危機関連保証の発動、信用保証付き融資における保証料・利子減免等の支援策があります。

民間金融機関による信用保証付融資

(出典)経済産業省「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf/

 なお、5月1日より、セーフティネット保証5号の対象業種が全業種に拡大されています。セーフティネット保証4号・5号、危機関連保証の内容をまとめると以下の通りです。

セーフティネット保証4号・5号、危機関連保証のまとめ

4号 5号 危機関連保証
保証枠 2.8億円(4号・5号共有) 2.8億円
保証率 100% 80% 100%
対象地域・業種 全国 全業種 全国・全業種
対象要件 売上高▲20% 売上高▲5% 売上高▲15%

②政府系金融機関による融資

セーフティネット貸付の要件緩和、新型コロナウイルス特別貸付、商工中金による危機対応融資、新型コロナウイルス対策マル経融資、特別利子補給制度(実質無利子)等の支援策があります。

政府系金融機関による融資

(出典)経済産業省「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf/

上記各種制度を簡潔にまとめると以下の通りです。

各種制度まとめ

セーフティネット貸付 新型コロナウイルス感染症特別貸付 新型コロナウイルス対策マル経融資 危機対応融資 特別利子補給制度
内容 社会的、経済的環境の変化などの外的要因により、一時的に業況悪化をしているが、中期的に業績回復し、かつ発展することが見込まれる中小企業者の経営基盤の強化を支援する融資制度。 日本政策金融公庫による特別貸付制度であり、信用力や担保に依らず一律金利とし、融資後の3年間まで0.9%の金利引き下げを実施。各公庫の既往債務の借換も可能。 商工会議所・商工会・都道府県商工会連合会の経営指導員による経営指導を受けた小規模事業者に対して、日本政策金融公庫が無担保・無保証人で融資を行う制度 商工組合中央金庫が、新型コロナウイルス感染症による影響を受け業況悪化した事業者に対して行う資金繰り支援。 左記①②③により、借入を行った中小企業者のうち、売上高が急減した事業者等に対して、利子補給を実施。公庫等の既往債務の借換も実質無利子化の対象。
融資限度額 中小事業7.2億円
国民事業4,800万円
中小事業3億円
国民事業6,000万円
1,000万円 3億円
貸付期間 設備資金15年以内
運転資金8年以内
設備20年以内
運転15年以内
設備10年以内
運転7年以内
設備20年以内
運転15年以内
据置期間 3年以内 5年以内 設備4年以内
運転3年以内
5年以内

5.おわりに

今回は新型コロナウイルス関連の経済支援策の中で、建設業にも深く関係するものを取り上げました。冒頭でも申し上げた通り、このような支援策は随時更新となりますので最新情報には常に気を配る必要があります。最後に制度検索に役立つリンクをいくつか紹介します。当コラムが皆様の情報収集の参考となれば幸いです。

maekawa_100 執筆者 
汐留パートナーズグループ
汐留パートナーズ株式会社 代表取締役
公認会計士(日米)・税理士 前川 研吾 氏

北海道大学経済学部卒業。公認会計士(日米)・税理士。
公認会計士試験合格後、新日本有限責任監査法人監査部門にて、建設業、製造業、小売業、金融業、情報サービス産業等の上場会社を中心とした法定監査に従事。
また、同法人公開業務部門にて株式公開準備会社を中心としたクライアントに対する、IPO支援、内部統制支援(J-SOX)、M&A関連支援、デューデリジェンスや短期調査等のFAS業務等の案件に数多く従事。
2008年4月、27歳の時に汐留パートナーズグループを設立。
税理士としてグループの税務業務を統括する。

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