建設業に関連する資格試験の最新動向

建設業に関連する資格試験の最新動向

 建設業関係の資格試験の最新動向/新型コロナウイルスの影響で資格試験の対応さまざま/技術検定制度は来年度から見直し

はじめに

 建築士、技術士、施工管理技士など建設業に携わる上で、関係資格の取得は必要不可欠となる。
ただ、今年は新型コロナウイルスの影響で資格試験が中止になったり、延期になったりと例年とは異なる。試験を実施する場合もマスク着用や会場が広い場所に変更されるケースもあり、受験者は注意が必要だ。一方、技術検定制度の見直しが盛り込まれた改正建設業法の政令が5月22日に閣議決定され、2021年度から一部受験資格などが変わる。今年度の各種資格試験の現況と技術検定制度の見直し内容などを紹介する。

卒業後すぐに1級建築士の受験が可能に

 2020年度の資格試験で大きな変更があったのが、建築士試験。改正建築士法が3月に施行され、新制度が導入された。受験要件となっている実務経験を「免許登録要件」に変更。試験の前に求められていた実務経験が、原則として試験の前後を問わず免許登録までに満たしていれば良いことになった。これにより学校卒業後すぐに受験ができるなど受験機会の早期化が可能となった。

 例えば、現行制度は建築に関する科目を履修した大学卒業者が1級建築士試験を受験する場合、卒業後に2年以上の建築実務の経験が必要となっていた。新制度では卒業直後から受験ができ、試験に合格した上で2年以上の実務経験を積むと、1級建築士として登録できる。同時に実務経験の対象業務も拡大。建築士を巡る環境変化を踏まえ、対象実務の考え方に「建築物を調査・評価する」業務などを追加し、対象範囲を広げた。

 法改正に伴い実務経験を審査する事務が試験機関から登録機関に移管され、1級建築士免許の指定登録機関の日本建築士会連合会(士会連合会、三井所清典会長)が、実務要件を審査する新組織を設置した。建築士の登録を行う上で必要な実務を確認する。

新型コロナ禍で試験実施を中止する資格も

 実務経験の緩和で受験者が急増するのではと注目されていた建築士試験だが、新型コロナ禍で試験の実施が危ぶまれていた。国土交通省は感染拡大の状況などを注視しながら、6月5日に予定通りの日程で試験を行うことを正式に決定。指定試験機関の建築技術教育普及センター(井上勝徳理事長)も同日、予定通りの試験日程(7月12日で実施済み)で行うと発表した。併せて、試験当日の体調を確認して感染の疑いがある場合は必要に応じて医師などに相談の上、受験を控えてもらう。入退場時の混雑緩和やマスク着用などの対応も求めるなど、新型コロナウイルス感染症対応も公表した。

 予定通り実施された資格試験もあれば、実施を諦め、中止した資格試験もある。監理技術者や主任技術者になれる国家資格「施工管理技士」の技術検定は試験の一部を中止・延期した。延期後の実施時期などは指定の試験実施機関がホームページ(HP)で公表している。日本道路建設業協会が実施している「1・2級舗装施工管理技術者」、プレストレストコンクリート工学会が行う「コンクリート構造診断士」、全国地質調査業協会連合会が行う「地質調査技士」、建設コンサルタンツ協会が行う「RCCM資格」は本年度の試験を中止した(表1を参照)。

表1:主な建設関係各種資格試験の日程予定

資格 試験機関 試験日 試験日(2次試験等) 備考
1級建築士 建築技術教育普及センター 7月12日(学科) 10月11日(設計製図) 6月5日に予定通り実施を発表
2級建築士 建築技術教育普及センター 7月5日(学科) 9月13日(設計製図) 6月5日に予定通り実施を発表
木造建築士 建築技術教育普及センター 7月12日(学科) 10月11日(設計製図) 6月5日に予定通り実施を発表
建築設備士 建築技術教育普及センター 6月21日(学科) 8月23日(設計製図) 6月5日に予定通り実施を発表
技術士 日本技術士会 10月11日(1次試験) 未定 1次試験申込期間は6月18日~7月1日
ダム工事総括管理技術者 日本ダム協会 8月25日(1次審査) (論文)コンクリートダム12月2日、フィルダム12月3日、
(口頭)コンクリートダム21年1月12日、フィルダム21年1月13日(2次審査)
再開発プランナー 再開発コーディネーター協会 8月23日(筆記試験) 11~12月(面接審査) 受験申込受付開始は6月中旬以降開始
学科試験日 実地試験日
1級建設機械施工 日本建設機械施工協会 10月以降に延期 学科・実地受検者は10月以降に延期。学科免除者は変更なしで8~9月に実施。(ただし実地試験のうち記述式試験は10月以降に延期) 7月下旬を目安に試験日程公表
1級土木施工管理 全国建設研修センター 10月以降に延期 12月以降に実施 7月下旬を目安に試験日程公表
1級建築施工管理 建設業振興基金 10月以降に延期 12月以降に実施 7月下旬を目安に試験日程公表
1級電気工事施工管理 建設業振興基金 10月以降に延期 12月以降に実施 7月下旬を目安に試験日程公表
1級管工事施工管理 全国建設研修センター 9月13日(学科) 12月6日(実地) 4月28日に予定通り実施を発表
1級電気通信工事施工管理 全国建設研修センター 9月13日(学科) 12月6日(実地) 4月28日に予定通り実施を発表
1級造園施工管理 全国建設研修センター 9月13日(学科) 12月6日(実地) 4月28日に予定通り実施を発表
計装士技術審査 日本計装工業会 学科8月29日(1級)、8月30日(2級) 実地12月12日(1級)、12月13日(2級) 試験会場に一部変更あり
前期(学科・実地) 後期(学科・実地)
2級建設機械施工 日本建設機械施工協会 延期。
学科免除者は変更なし(8月下旬~9月中旬・実地)。その他は延期
21年1月17日(学科のみ、変更なし) 4月28日に前期予定と後期変更なし発表
2級土木施工管理 全国建設研修センター 中止 10月25日 4月28日に前期中止と後期変更なし発表
2級建築施工管理 建設業振興基金 中止 11月8日 4月28日に前期中止と後期変更なし発表
2級電気工事施工管理 建設業振興基金 中止 11月8日 4月28日に前期中止と後期変更なし発表
2級管工事施工管理 全国建設研修センター 中止 11月15日 4月28日に前期中止と後期変更なし発表
2級電気通信工事施工管理 全国建設研修センター 中止 11月15日 4月28日に前期中止と後期変更なし発表
2級造園施工管理 全国建設研修センター 中止 11月15日 4月28日に前期中止と後期変更なし発表
建設業経理事務士 建設業振興基金 9月13日(予定通り) 2021年3月14日 下期の受付は11月7日~12月7日
1・2級舗装施工管理技術者 日本道路建設業協会 中止 今年度は試験を行わない
コンクリート構造診断士 プレストレストコンクリート工学会 中止 今年度は試験を行わない
地質調査技士 全国地質調査業協会連合会 中止 今年度は試験を行わない
RCCM資格 建設コンサルタンツ協会 中止 今年度は試験を行わない
マンション管理士 マンション管理センター 11月29日 申込期間は9月1日~30日
測量士・測量士補 国土地理院 10月以降に延期 決まり次第HPで公表
土地区画整理士 全国建設研修センター 9月13日 当初の予定取り開催
JSCA建築構造士 日本建築構造技術者協会 中止
空気調和・衛生工学会設備士 空調・衛生工学会 空調11月28日、衛生11月29日 申込受付期間は7月27日~8月31日
認定コンストラクション・マネジャー 日本コンストラクション・マネジメント協会 9月13日 申込受付期間は7月31日まで

(6月末時点の状況)

技術検定の1次合格者を「技士補」に

 一方、政府は5月22日、2021年4月1日に施行する改正建設業法の政令を閣議決定した。政令では技術検定制度の見直しについて、同制度の学科と実地の両試験を加味した第1次検定と第2次検定に再編する。第1次検定の合格者は「技士補」、第2次検定の合格者は「技士」の称号を付与する。制度変更に伴う経過措置や受験手数料の引き上げなども盛り込まれた。

 技術検定制度の受験資格は現行制度をおおむね踏襲。2級の第2次検定合格者が、1級の第1次検定を受験する際、1級相当の実務経験が不要となる。これにより2級の第2次検定に合格した翌年に1級の第1次検定が受験できる。所定の実務経験(5年以上)は、1級の第2次検定の受験要件となるため、1級の第2次検定を受験するまでに実務経験を確保すれば良いことになる。

 経過措置では、2020年度試験までに学科試験を合格し、学科試験を免除される者は免除期間内に限り、新制度でも第1次検定を免除して第2次検定を受験できる。受験手数料は2019年度試験で新種目となった電気通信工事を除く6種目の料金を引き上げる(表2を参照)。

表2:21年度試験からの受験手数料

検定種目 1級 2級
第1次検定 第2次検定 第1次検定 第2次検定
建設機械 14,700円 38,700円 14,700円 27,100円
土木 10,500円 10,500円 5,250円 5,250円
建築 10,800円 10,800円 5,400円 5,400円
電気工事 13,200円 13,200円 6,600円 6,600円
管工事 10,500円 10,500円 5,250円 5,250円
造園 14,400円 14,400円 7,200円 7,200円

※現行と同じ

電気通信工事 13,000円 13,000円 6,500円 6,500円

 建築士、施工管理技士などの試験制度の見直しは、少子化で受験者数の減少が今後予想されることから、試験要件を緩和し、より試験を受けやすくするのが狙い。同時に資格者を効率的に利用できるようにする。若い技術者の方々は今回の見直しで受験のチャンスが広がったので、是非とも若いうちに資格試験に挑戦してほしい。

坂川 博志 氏 執筆者 
日刊建設工業新聞社
常務取締役編集兼メディア出版担当
坂川 博志 氏

1963年生まれ。法政大社会学部卒。日刊建設工業新聞社入社。記者としてゼネコンや業界団体、国土交通省などを担当し、2009年に編集局長、2011年取締役編集兼メディア出版担当、2016年取締役名古屋支社長、2020年5月から現職。著書に「建設業はなぜISOが必要なのか」(共著)、「公共工事品確法と総合評価方式」(同)などがある。山口県出身。

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