新型コロナ感染症から考えるオフィスの快適性と健康性

新型コロナ感染症から考えるオフィスの快適性と健康性

乾燥で増す新型コロナの感染力

 新型コロナの汚染拡大が続いています。「第3波」とも言われ、冬場に空気が乾燥すると、ますます感染の威力が増すと言われています。そのため、オフィス内に加湿器を設置するケースが増えているようです。加湿とは矛盾するようですが、2方向の窓を開けて換気することも必要です。寒さが増すこの時期は、寒さとの戦いになります。

室内空気環境基準とは

 ところでオフィスや商業施設などで「特定建築物」に該当する場合は、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法)」(昭和45年法律第20号)によって室内空気環境の基準が定められています。

 その基準は下記のとおりです。

  1. 浮遊粉じんの量=0・15mg/立方㍍以下
  2. 一酸化炭素の含有量=10ppm以下(特例として、外気がすでに10ppm以上ある場合は20ppm以下)
  3. 二酸化炭素の含有量=1000ppm以下
  4. 温度=17度C以上28度C以下
  5. 相対湿度=40%以上70%以下
  6. 気流=0・5m/秒以下
  7. ホルムアルデヒドの量=0・1mg/立方㍍以下

 特定建築物は、この基準を満たしていなければなりません。仮に満たしていない場合は、建築物環境衛生管理技術者の意見を尊重し、適切な是正措置を取る必要があります。

 建築物衛生法を所管する厚生労働省では、特定建築物に当たらない建築物についても、この基準に適合させるよう維持管理することを求めています。

 通常、建築物衛生法に適合する室内空気環境基準下では、新型コロナに感染する確率は大幅に下がると言われていますが、昨今では、さらなる「安全性」確保のために、窓を開けて室内空気を入れ換えるということが奨励されています。具体的には、30分に1回以上、数分間程度、窓を全開にして、室内の空気をすべて外気と入れ替えるというものです。窓が複数ある場合は2方向の壁の窓を、窓が1つしかない場合はドアを開けることを推奨しています。厚労省が示している必要換気量は1人当たり毎時30立方㍍で、必要換気量が足りない場合は1部屋当たりの在室人数を減らすことで、換気量の条件を満たすことが可能だとしています。

最近の動向

 オフィスなどの快適性を考えた場合、温湿度、室内の明るさ、照明の色など、多くの要素が絡んできます。しかも、人が快適と感じる環境は千差万別のため、万人に当てはまる「最適解」を出すことは不可能です。特に、夏場や冬場などでは、換気によって室内温度が上がったり、下がったりするため、快適性を保ち続けるのは難しくなります。その一方で新型コロナウイルスへの対応などが求められているわけです。

 そうしたことから最近では、「次亜塩素酸水」や「プラズマ除菌水」といったものを使った「ウェルネス空調」に注目が集まっています。

 以前、空調を、単に室内を「冷やす」「暖める」という役割だけでなく、「香り」を付けることで精神的な安らぎや生産性向上につなげようという動きがありました。休憩室に「フィトンチッド」という成分を含んだ空気を吹き出すことで、ゆったりと休んでもらおうという試みもあったと記憶しています。ただし、これを執務空間に吹き出したために、ワーカーがゆったりしてしまい、生産性が落ちたという話を聞いたことがあります。「香りの力を侮ってはいけない」といったところでしょうか。

 その「香り成分」が現在は、次亜塩素酸水やプラズマ除菌水に取って代わったというわけです。

次亜塩素酸水

 次亜塩素酸水は「殺菌料」の一種で、厚労省によれば「塩酸または食塩水を電解することによって得られる次亜塩素酸を主成分とする水溶液」です。2002年6月には食品添加物として指定されています。

 この次亜塩素酸水はほとんどすべてのウイルスや細菌を除菌する効果があることから、手洗いや空調ドレンパンの付着菌の不活性化に使われようとしています。空調機器に付着している菌やウイルスを、あらかじめ除去しておくことで、よりきれいな空気を室内に吹き出そうというわけです。

 次亜塩素酸水を加湿器に入れて、加湿と同時に室内空気を除菌しようという製品も登場しています。ただし、対応している除湿器でないと故障の原因となるようです。次亜塩素酸は有機物に触れると水に戻るので、その点でも安心です。

 似たようなものに「次亜塩素酸ナトリウム水」があります。これは塩素系漂白剤を薄めて作りますが、使い方を間違えると思わぬ事故につながります。加湿器に入れて散布することはできません。

プラズマ除菌水

 次亜塩素酸水とは別に「プラズマ除菌水」というものもあります。

 水にプラズマを照射することで、ラジカルと呼ばれる状態になります。この状態になると微生物に対して殺菌効果を持つようになります。性質は弱酸性で、一定の時間で原水に戻ります。除菌清掃や手洗い用だけでなく、空調機内のカビ発生防止や空気の除菌といった面での応用が期待されています。

最後に

 新型コロナウイルスは室内環境のあり方に一石を投じました。温湿度、一酸化炭素量、二酸化炭素量、浮遊粉じん量という「指標」に、新たにウイルスという指標を加えたといえるからです。

 大手管材商社が毎月出しているデータでは「換気、送風」に関する商品の出荷は好調を続けています。その背景には、人々の換気に対する意識の高まりがあると、同社では見ています。

 一方、中小ビルは窓開けも可能ですが、大型・高層ビルでは窓開けができず、機械換気に頼らざるを得ません。その時、空調機器をあらかじめ除菌しておくという発想が生まれたのではないでしょうか。病人を出さない「健康空間」づくりに向けて、建設業界は技術開発を続けていく必要性が高まっていると言えるでしょう。

服部 清二 氏 執筆者 
株式会社日刊建設通信新聞社
常務取締役コミュニケーション・デザイン局長
服部 清二 氏

中央大学文学部卒業。設備産業新聞社を経て建設通信新聞社へ。
国土庁(現国土交通省)、通産省(現経済産業省)、ゼネコン、建築設備業、設備機器メーカー、鉄鋼メーカー、建設機械メーカーなどの取材を担当。特に建築設備業界の取材歴は20年以上にわたる。
その後、中部支社長、編集局長、企画営業総局長、電子メディア局長兼業務総局長を歴任、2019年6月電子メディア局の名称変更に伴い、現在のコミュニケーション・デザイン局長に就任。建設通信新聞「電子版」、「月刊工事の動き」デジタル、講演集や各種パンフレットの作成、協会機関誌の制作、DVD撮影などを行う部署を管轄している。

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