建設・工事業が取り組むSDGs、4つのメリットご紹介

建設工事業とSDGsとの関係

貧困・飢餓・差別の廃絶等、日本をはじめ、世界各国がSDGs達成へ向けた取組を進めています。数ある産業の中でも、建設業はSDGsの目標を複数、同時に実現できる業界です。この記事では、SDGsとは何か、建設業が担う役割やSDGsに取り組むメリットなどをご紹介します。

SDGs(持続可能な開発目標)とは

国連サミットで採択された2030年までに達成すべき17のゴール

SDGs(持続可能な開発目標)

SDGs(持続可能な開発目標)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載されている、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。

日本ではSDGsに積極的に取り組むために「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」を設置しています。
2017年には経団連が行動憲章を改定し、SDGs達成に向けて行動することを宣言しました。2018年には29の自治体が「SDGs未来都市」として選ばれ、その内10事業が「自治体SDGsモデル事業」として選定されています。建設業界でも、日本建築学会が2020年4月に「SDGs対応推進特別調査委員会」という特別委員会を設置し、SDGsに対する貢献策を検討し、具体的な指針を示すと共に、2022年までに成果報告することを予定しています。

SDGsにおいて建設業が担う役割

建設業界は、地域の人が安心して暮らせる社会をつくるために住環境の整備やまちづくり、インフラ構築、省エネ、環境保護などに取り組んでいます。事業の理念そのものがSDGsに合致していると言えるのです。SDGs17のゴールを達成するために建設業ができることとして、下記のような例が挙げられます。

SDGs(持続可能な開発目標) 17のゴール【建設業の場合】

ゴール 目標 建設業ができること
1 貧困をなくそう あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ 適正な人事評価と適正な賃金の支払い
2 飢餓をゼロに 飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する 子ども食堂の運営、低価格の社員食堂の運営
3 すべての人に健康と福祉を あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進する 日雇い労働者も含め、すべての労働者に健康診断を受信させる
4 質の高い教育をみんなに すべての人に包括的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する 新入社員への技術教育、子どもへの大工教室
5 ジェンダー平等を実現しよう ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る 男性の育児休暇、介護休暇の取得、女性役員比率の増加
6 安全な水とトイレを世界中に すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する 作業現場での男女別のトイレ確保
7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する 太陽光発電の促進、自然エネルギー導入の促進
8 働きがいも経済成長も すべての人のための持続的、包括的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を促進する 性別・年齢にとらわれない雇用促進
9 産業と技術革新の基盤をつくろう 強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る 耐震技術の向上、土砂崩れ等防止対策
10 人や国の不平等をなくそう 国内および国家間の格差を是正する 男女・年齢・学歴不平等制度の廃止
11 住み続けられるまちづくりを 都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする 災害に強い住宅、省エネルギー住宅の建設
12 つくる責任 つかう責任 持続可能な消費と生産のパターンを確保する 100年住み続けられる家づくり、古民家再生
13 気候変動に具体的な対策を 気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る 災害対策のための技術向上
14 海の豊かさを守ろう 海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する 海岸線のごみ拾い、プラスチック製品の削減
15 陸の豊かさを守ろう 陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の促進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止及び逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る 植樹、地産地消による建材確保、ビオトープ整備
16 平和と公正をすべての人に 持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する 無理な地上げ、強引な開発の見直し、コンプライアンス意識の促進
17 パートナーシップで目標を達成しよう 持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する 1社だけではなく地域が一体となって取り組む

17のゴールの中でも「9:産業と技術革新の基盤をつくろう」「11:住み続けられるまちづくりを」「12:つくる責任 つかう責任」「13:気候変動に具体的な対策を」等は、建設業が大きく貢献できる分野です。建設業こそがSDGs17のゴール達成の重要なカギと言えます。

番外:案件受注に影響を与える「持続可能性に配慮した調達コード」

2020年に開催予定されていた東京オリンピックでは、地球温暖化や資源の枯渇、生物多様性の損失等の環境問題、人権・老僧問題等の諸課題を考慮し「持続可能性に配慮した調達コード」が定められ、スタジアムや選手村の建設受注に大きな影響を及ぼしました。調達コードには下記4つの原則が定められています。

  1. どのように供給されているのかを重視する
  2. どこから採り、何を使って作られているのかを重視する
  3. サプライチェーンへの働きかけを重視する
  4. 資源の有効活用を重視する

このように、環境負荷をかけない原材料や、資源を無駄にしない工法が求められ、それをサプライチェーンへ働きかけることが各企業に求められています。上記4原則は、東京オリンピック関連の工事から始まり、いずれは公共・民間工事にも影響を与えることが予想されます。今後の案件受注に関わる部分となりますので、積極的に取り組む必要があります。

SDGsに取り組むメリット

企業にとって、SDGsへの取り組みは義務ではありません。事業に直接関係のない貧困や環境問題への取組は、コストがかかります。それでもSDGsに取り組む企業は年々増加しているのです。

企業イメージ向上・優秀人材の採用

①企業イメージ向上・優秀人材の採用

世界規模の課題に対して企業として取り組むということは、社会的責任を果たす企業として認識されます。SDGsへの取組は企業イメージ向上やブランディングに繋がり、先進的な取組を行う企業として優秀な人材が集まりやすくなります。


②持続可能なコストカット

環境負荷を減らすために、資源・廃棄物の使用量削減や省エネ活動を徹底して行うことで、部材廃棄コストやエネルギー使用料金を削減することが可能です。

新しいビジネスチャンス

③新しいビジネスチャンス

貧困・飢餓問題をはじめとする世界が直面している課題を解決するため、これまでにない事業への参入や、新製品・サービス開発を検討する機会が生まれます。この新しい事業参入の結果、今までにない売上や利益を出すことができます。

まとめ

貧困・飢餓・差別の廃絶等、日本をはじめ、世界各国がSDGs達成へ向けた取組を進めています。数ある産業の中でも、建設業はSDGsの目標を複数、同時に実現できる業界です。

SDGsへの取組は、短期的にみると利益にならないどころかコストがかかりますが、長期的に見れば、企業イメージの向上や持続的なコストカット、新規事業の創出に繋がります。建設業だからこそ取り組めるSDGsを意識した経営戦略を立てて、事業の活性化に役立ててみてはいかがでしょうか。

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