今後どうなる!? 建設業の景気動向――五輪特需に続く3大プロジェクト

気になる建設業界の景況予想は?

五輪特需でバブルに沸いた建設業界ですが、今後の動向については誰もが気になるところ。新型コロナ禍の影響も根深く、予断を許さぬ状況は続きます。本稿では、オリンピックに続く国内3大プロジェクトを紹介しつつ、建設業の今後の景況について考察します。

建設業の景気を振り返る

ここ数年、建設業界の躍進には目を見張るものがあります。日本建設業連合会が発表している大手建設会社の工事受注額統計を紐解いてもそれは明らかで、2008年のリーマンショックによる急激な景気悪化の煽りを受けて、一時期は9兆円台まで落ち込んだものの、2014年以降は15兆円まで回復。以後、堅調に推移しています。


これらの好況の背景として、2021年に開催された東京五輪が挙げられるでしょう。新型コロナ禍による延期など紆余曲折があり、観光業や商業施設が思うように利益を上げられないなか、建設業はインフラや施設整備、マンションやホテル建設などの特需をうまく享受できました。

別の統計でも、建設業の営業総利益/利益率の伸長が明らかになっており、単純な五輪特需だけでなく、事業者様のたゆまぬ経営努力が数字となって顕れています。

どうなる? 五輪後の建設業

五輪後の建設業の動向については、だれもが気になるところでしょう。見通しを不安視する声もありますが、結論からいえば、現状の建設業バブルが弾けることは、当面なさそうだといえます。

もちろん、新型コロナ禍の影響で景気が落ち込むなか、特に飲食業や観光業の不調による出店/改装の手控えは、建設業界にとっても大きな痛手です。

ただ、それ以上に、工賃が高騰する五輪前を避けて延期していた工事が多く控えており、今後も建設業の需要は安定しているとみられます。なにより、建設業にとっては大きな特需が見込まれる国内プロジェクトも続々予定されています。

本稿では、そのなかでも目玉となるであろう3大プロジェクトについてご紹介しましょう。

ポスト五輪、建設業3大プロジェクト

リニア中央新幹線

まず筆頭格に挙げられるのが、リニア中央新幹線です。電磁石を用いて車体を浮上させ、摩擦ゼロによる高速走行を可能とするリニアモーターカー。特筆すべきその高速性能は、のぞみ220km/h、N700系新幹線285km/hを大きく凌ぐ500km/h(営業運転時)。品川-大阪間を67分で繋ぐとされ、実現すれば日本経済に与えるインパクトは計り知れません。

1962年から研究が始められ、1972年に浮上走行実験が成功。長年、未来の乗り物の象徴とされてきましたが、2011年に国土交通省が中央新幹線の整備計画を決定、現在、2027年の東京-名古屋間での開業に向けて、すでに急ピッチで工事が進められています。建設費用は7兆円余、足掛けじつに半世紀を超えるビッグ・プロジェクトです。

東京-名古屋間で開業したのちは大阪までを繋ぐ計画で、周辺商業施設の整備も含め、建設業にとっては大きな特需が続くでしょう。ただ、史上最大規模の工事であるだけに工事の難航は必至で、その動向は同業界から注視されています。

リニア中央新幹線

IR

IRはIntegrated Resortの略で、統合型リゾート、あるいは特定複合観光施設と訳されます。国際会議場や展示場、ホテルやレストラン、商業施設など様々な施設をひとつのエリアにまとめたリゾート拠点のことですが、特にカジノ施設による牽引が期待されています。

2016年にIR推進法が成立し、実質的にカジノが解禁。以後、IRは観光及び地域経済振興の切り札として注目されています。2022年5月現在、建設候補地として挙がっているのは、大阪(人工島・夢洲[ゆめしま])と長崎(ハウステンボス)の二カ所。

日本のIRがモデルに掲げているシンガポールのマリーナ・ベイ・サンズの例で建設費は4,870億円とされており、災害リスクの高い日本で同規模の建設をする場合、さらに高額になることは間違いありません。周辺施設やインフラ整備も含めれば、東京五輪に匹敵する特需が中長期的に期待できます。

IR

大阪万博

「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに2025年に開催が予定される大阪万博も、五輪に次ぐ国際的なビッグ・イベント。建設業へのインパクトも、負けていません。

会場となるのはIR候補地にも挙がる大阪湾の人工島、夢洲。 約155ヘクタールの会場にパビリオンを建設するための費用は当初の予定1,250億円から1,850億円に大幅増額されました。

さらに夢洲へのアクセス手段として地下鉄中央線の延伸計画、主要駅からのシャトルバスの運行が予定されています。

大阪万博

労働力不足の懸念は続く

大規模建設ラッシュに沸く建設業ですが、景況の上向きに反し、最大の懸念事項は慢性的な労働力不足でしょう。後継者不足/技術者の高齢化に加え、新型コロナ禍による外国人労働者の確保が困難になっており、さらには働き方改革による労働時間短縮も大きな足枷です。人手不足倒産といった皮肉な事例も、同業界では珍しくありません。

労働力不足を克服するため、現在多くの建設事業者様がDX(デジタルトランスフォーメーション)を基盤とした生産性向上に精力的に取り組んでいます。成果を挙げた有力な事例も含めてご紹介していますので、ご関心のある事業者様は、ぜひ「「2025年の崖」対策は万全ですか? 建設業界のDX事例」もご覧ください。

【参考】
・日本建設業連合会「建設業の現状
・国土交通種「2025年大阪・関西万博開催に向けて
・首相官邸「諸外国におけるIR

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