2020年の改正についておさらい
長時間労働の常態化や休みが少ないといった建設業の労働環境を改善し、人手不足を解消するために建設業法・入契法が改正されました。この記事では、建設業法の改正スケジュールや改正におけるポイントなどご紹介します。
CONTENTS
01.建設工事業界を取り巻く現状
02.改正建設業法施行スケジュール
03.改正建設業法3つのポイント
04.業務の合理化を促進する建設・工事業向けERPシステム
建設工事業界を取り巻く現状
厚生労働省の調査では、建設業は全産業と比較して、長時間労働が常態化していることがわかっています。ほか、他産業では当たり前となっている週休2日もとれている技術者は1割以下ということで、「建設業の働き方改革」を促進する必要があります。
また、60歳以上の高齢者は建設業就業人口のおよそ25%を占める一方で、29歳以下の若年層は11%程度に留まっており、現場の急速な高齢化と若者離れが進んでいます。限りある人材の有効活用などを通じた「建設現場の生産性の向上」を促進する必要があるといえます。
さらに、日頃のインフラ整備だけではなく、災害時においてその地域の復旧・復興を担うなど、「地域の守り手」として活躍する建設業者が今後も継続して活躍できるよう事業環境を確保する必要があります。
このような背景により、「建設業の働き方改革の促進」「建設現場の生産性の向上」「持続可能な事業環境の確保」の観点から、建設業法・入契法が改正されました。
改正建設業法施行スケジュール
建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入契法)の一括改正案は、2019年6月5日の参議院本会議で全会一致で可決・成立し、2019年6月12日に公布されました。施行日は3段階で設定されています。第1弾は既に施行されており、来る2020年10月1日に第2弾が施行されます。
2019年9月1日に施行された第1弾では、建設業従事者、建設業団体それぞれに課す新たな努力義務と、適正な工期設定や施工時期の平準化といった公共工事品確法と関係する規定等が施行されました。
2020年10月1日施行予定の第2弾では著しく短い工期の禁止や、工事現場の技術者の配置要件に関する規制の合理化、下請負人の主任技術者の配置が免除される特定専門工事等の改正が施行される予定です。
2021年4月1日施行予定の第3弾では技術検定制度の手数料や検定種目名称、受験資格等の改正が施行される予定となっています。
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改正建設業法3つのポイント
建設業の働き方改革の促進
長時間労働の是正(工期の適正化等)
中央建設業審議会が、工期に関する基準を作成・勧告します。また、著しく短い工期による請負契約の締結を禁止し、違反者には国土交通大臣等から勧告等が実施されます。
ほか、入札契約適正化指針に公共発注者が取り組む事項として、工期の確保と施工時期の平準化のための方策を講ずることを努力義務化します。
現場の処遇改善
建設業許可の基準を見直し、下請の建設業含め社会保険への加入を要件化することとなりました。下請代金のうち、労務費相当分は現金で支払います。
建設現場の生産性向上
限りある人材の有効活用と若者の入職推進
工事現場の技術者に関する規制を合理化します。元請の場合、監理技術者に関して、これを補佐する制度を創設し、技士補がいる場合は複数現場の兼任を容認します。下請の場合、主任技術者に関して、下記要件を満たす場合は設置を不要化します。
- 一式以外の一定の金額未満の下請工事
- 元請負人が注文書の承諾と下請建設業者の合意を得る
- 更なる下請契約は禁止
建設工事の施工の効率化の促進のための環境整備
建設業者が工場製品等の資材の積極活用を通じて生産性を向上できるよう、資材の欠陥に伴い施工不良が生じた場合、建設業者等への指示に併せて、国土交通大臣等は、再発防止のため建設資材製造業者に対して改善勧告・命令できる仕組みを構築します。
持続可能な事業環境の確保
経営業務に関する多様な人材確保等に資するよう、経営業務管理責任者に関する規制を合理化します(※)。
※建設業経営に関し過去5年以上の経験者が役員にいないと許可が得られないとする現行の規制を見直し、今後は、事業者全体として適切な経営管理責任体制を有することを求められます。
合併・事業譲渡等に際し、事前認可の手続きにより、許可の空白期間なく円滑に事業承継が可能となります。
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業務の合理化を促進する建設・工事業向けERPシステム
建設業に限らず、全産業において働き方の合理化は永遠の課題です。職場環境の改善、生産性の向上は常に意識されているかと思います。建設業法改正のタイミングに合わせて、自社の課題に向き合ってみるのもよいかもしれません。
「複数のシステムに同じ内容を登録しなければいけないので、手間がかかる」
「建設業独自の習慣にシステムが対応しておらず不便だ」
「直近の法改正や会計基準にシステムが対応していない」
上記のような課題を、建設・工事業向けERPシステム「PROCES.S」が解決します。統合データベースで基幹業務に必要なデータ・マスタを一元管理するので二重入力が排除されます。会計・原価管理・JV管理等、建設業特有の業務に標準で対応しているのでカスタマイズの必要はありません。日々変化する会計基準や法改正にもいち早く対応し、常に成長し続けるパッケージシステムです。
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【参考】
・国土交通省「新・担い手3法の成立など最近の建設業を巡る状況について」2020年8月閲覧
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001310000.pdf
・国土交通省「建設業法、入契法の改正について」2020年8月閲覧
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk1_000176.html
・国土交通省「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律(令和元年法律第三十号) 」2020年8月閲覧
https://www.mlit.go.jp/common/001291076.pdf