建設×IT=i-Construction
2015年12月 国土交通省は、ICT活用や規格標準化、施工時期の平準化等の施策を建設現場に導入し、建設生産システム全体の生産性向上と魅力ある建設現場を目指す取組み 「i-Construction(アイ・コンストラクション)」の導入を表明しました。
CONTENTS
01.i-Constructionの概要
02.i-Constructionの3つの柱
03.i-Constructionの具体的な取り組み
04.建設業とITを結ぶi-Construction
i-Constructionの概要
i-Construction(アイ・コンストラクション)とは、測量・設計から、施工、管理までの全プロセスにICT(情報通信技術)を導入し、生産性を最大5割向上させるとともに、技能労働者にとって魅力を感じられるような建設現場を作る試みで、国土交通省が進めています。
建設業界は3K(きつい、汚い、危険)と呼ばれ、若年層の入職者が少ないうえに離職率が高い業界です。これまで業界を支えてきた熟練技能者の高齢化が進んでいることも鑑み、長期にわたって持続可能な体制構築が求められています。ICT技術を導入し、建設現場を省力・効率化することで人手不足に対応することがi-Constructionの狙いです。
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i-Constructionの3つの柱
ICT技術の全面的な活用
(土木)
ICTを全面活用することで、極力人手をかけず建設プロセスを進めることを指します。
具体的には、土木の現場において、ドローンを用いた3次元測量やICT建設機械による施工などで、高速かつ高品質な建設作業を実現していく取り組み等です。
規格の標準化
(コンクリート工)
現場ごとに部材のサイズや工法がバラバラでは、手間が増えて非効率です。
原材料(材料メーカー)から部材(建材メーカー)・組み立て(専門工事会社)が、可能な限り早い時期から工事関係の情報を共有して工事計画の効率化を図ることが「規格の標準化」です。
施工時期の
平準化
建設現場では、繁忙期と閑散期が極端なため、収入が不安定で休暇が取得しづらい現状があります。そうならないように考慮した発注計画を作成することで、施工時期を可能な限り平準化しようとする取り組みです。
i-Constructionの具体的な取り組み
ドローン活用
測量の段階では、UVA/ドローン(小型無人飛行装置)による3次元測量を実施します。人が近付けない地形でも高所からの写真測量で定量的に把握が可能です。測量時間が短時間で抑えられ、高密度のデータを測量できるため、測量時間・人件費の削減に繋がり、コストカットを実現することが可能です。
3次元データの活用
設計・施工計画の段階では、3次元測量データを用いることで、設計図と3次元測量データの差分を検出して自動で施工量を計算できます。3次元の設計図はそのまま完成後のイメージ図として使用することも可能なので、関係者間で容易に共有することができます。設計の段階から共通認識を揃えられる点は、ICT技術導入のメリットといえます。
ICT建機の活用
施工段階のICT活用では、ICT建設機械による自動制御でIoTを実施しています。(IoTとは情報伝達機能をモノに組み込んでインターネットに繋ぐことです。)3次元データを活用して重機制御の高度化に成功しました。
自動制御によって作業効率や精度を高めて、作業日数を削減する狙いがあります。また機械操作の一部を補助するICT建設機械は、操縦者の負担を軽減することが可能です。経験と知識が豊富な操縦者以外でも素早い作業を行える点もメリットです。
建設業とITを結ぶi-Construction
ドローン・CIM等の利用による測量・設計工程の効率化や、検査・点検時の書類作成業務の手間削減等を実現することで、従来の3Kと呼ばれる労働環境を脱することが可能です。本格的な人手不足に陥る前に、低コストな機器導入から始めてみるのはいかがでしょうか。
また、建設DXについての詳細な資料もご用意しています。こちらも本稿と合わせ、貴社の発展の一助にお役立ていただければ幸いです。
【参考】
・国土交通省「i-Construction」2021年1月閲覧
https://www.mlit.go.jp/tec/i-construction/index.html