
CONTENTS
建設業界では、デジタル技術の進展や働き方改革などを背景に、大きな変革の時代を迎えています。AIやICT、AR・MRといった新しい技術が現場へ浸透し、生産性向上や省人化、安全性向上に向けたさまざまな取り組みが進められています。
一方で、どれほど技術が進化しても、ものづくりに向き合う技術者の情熱や、困難に挑戦し続ける姿勢、人と人とのつながりといった普遍的な価値は変わることがありません。
本レポートでは、株式会社丸本組 執行役員 安全施工推進部統括部長の山岸邦亘氏によるセミナー「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」の内容をもとに、AIやARを活用した先進的な取り組みと、その根底にある土木技術者としての想いについてご紹介いたします。変化を恐れず挑戦を続けながらも、受け継ぐべき価値を大切にする姿勢は、これからの建設業を考える上で多くの示唆を与えてくれるものです。
流行【デジタル技術の活用例】
i-Construction:生産性革命元年
2016年に国土交通省が「i-Construction」を打ち出しました。インフラ分野のDXが進み、建設業界も大きく変化しました。当社でもICT機器導入や試行工事が始まりました。

出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
i-Construction2.0
「i-Construction2.0」では、省人化対策として、持続的なインフラ整備・管理、自動化にステージを上げることが目的となりました。

出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
AI活用事例
取り組みのきっかけ
AIダッシュボードに取り組むきっかけとなったのは、2020年の石巻市雄勝町の東日本大震災復興工事です。橋脚施工をタイムラプス(一定間隔で静止画を撮影し、短い動画にして再生する手法)で捉え、重機土工事の工事進捗を計測できないかと考えました。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
(仮称)AI歩掛り解析
翌2021年、女川町の東日本大震災復興工事でも同様の取り組みを行いました。プロジェクト名を「(仮称)AI歩掛り解析」としました。歩掛りと呼ばれる施工実績を映像から自動算出することを目指しました。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
試行フィールドと概要はスライドに記載のとおりです。

出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
試行背景・課題
さまざまな背景があり、大がかりでも完全自動化でもなく、生産性向上を図ることができる、モノやコトを提供したいという考えに至りました。また、『日経コンストラクション』の記事にあった「ゼネコンが存在価値を失いかけている危機感」への共感もありました。

出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
プロジェクト開始
プロジェクトは切り出し頂部まで重い燃料電池を運ぶことから始まりました。タイムラプスカメラを動かすための電池です。AI画像解析技術を活用し、重機の稼働状況の数値化を試みました。そして、トライポッドワークス株式会社と共同で「AIの解析×施工実績ソリューション:AIダッシュボード」の開発を行いました。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
吉田川河道掘削工事
2019年、台風19号により宮城県も甚大な被害を受け、大規模災害関連事業が始まりました。当社は吉田川河道掘削工事のうち二子屋地区を担当しました。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
AIダッシュボードの活用
想定された課題を解決するために、AIダッシュボードを活用することになりました。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
掘削現場や搬出・搬入路、土捨場にカメラを設置し、クラウドに上げられた映像データを解析します。その結果を現場事務所のモニターに可視化し、現場職員から改善指示を出します。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
2つの技術:AIダッシュボード
2つの技術を使いました。1つ目は、トライポッドワークス社のAIダッシュボードです。対岸に設置したカメラで重機を補足し、重機の稼働状況を解析しました。解析結果を「積み込み作業」「その他の作業」「停止」に分類し、円グラフで表示します。それを確認し、人が改善指示や判断を行います。その結果、日施工量が22%改善され、生産性が向上しました。

出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
2つの技術:複数ナンバー解析AIダンプ入退場管理システム
もう一つはArkit合同会社の複数ナンバー解析AIダンプ入退場管理システムです。従来は手書きで作成していたダンプ運搬日報をデジタル化しました。カメラで補足した情報からリアルタイムで自動作成します。
また、路面汚損対策として、タイヤ泥落とし装置の稼働状況を監視しました。稼働時間が規定の時間未満であれば、回転灯が点灯し、運転手に注意喚起します。これにより7割程度だった泥落とし合格率が98%以上になるまで改善されました。また、当現場での道路汚損苦情は発生しませんでした。
認識精度は平均97%です。

出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
成果と課題
成果は、日施工量の増加・工程短縮、書類作成や苦情処理に要する時間の削減、次年度工事の活用などです。天候などにより認識率が変動してエラーが発生すること、稼働までに学習期間が必要なことなどが課題として挙がりました。
業界での評価
この取り組みが建設系専門雑誌等で取り上げられたり、令和5年度インフラDX大賞国土交通大臣賞をいただいたりしました。受賞後には、専門誌等への寄稿や、発表、セミナー等が増加しました。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
次なる取り組み
翌年も引き続き、吉田川河道掘削工事を担当しました。前回よりも複数の施工業者による運搬作業が多くなることが予想され、ダンプトラックの適切な運行管理が求められました。そのため、事業全体の効率化に取り組みました。
そこで試行したのが、Arkit社の技術を使った、ダンプ運行管理センターと事業全体の運搬進捗管理です。当社以外のダンプ台数も全て管理し、進捗率を測ろうというものです。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
また、AIダッシュボードの精度向上にも取り組みました。重機の密集など解析困難なケースを改善・高度化するため、時刻変化画像を用いたAI解析手法を取り入れました。重機の動きを細かく分析し、「旋回」「すくい」「移動」なども判定できるようになりました。

出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
取り組みの評価と発信
このような技術や現場での取り組みが評価され、東北地方整備局の令和6年度「みちのくインフラDX奨励賞」を受賞しました。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
また、取り組みの報告を学会で発表することにも努めました。令和6年度土木学会全国大会では、当時2年目の若手社員と一緒に発表しました。国土交通省の事例等にも取り上げられています。
i-Construction導入から10年がたち、推進の加速度が増していると感じます。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
遠隔施工見学会
遠隔施工の視察
2025年、株式会社新庄砕石工業所の遠隔施工見学会に参加しました。建設系YouTuber「石男くん」である柿﨑社長の会社です。こちらでもAIダッシュボードが活用されていました。
重機の遠隔自律運転は、大手にない発想で地域業者も取り組む必要があると考えていました。大いに刺激を受け、視察から帰ってからは、社内外の有志で集まり、勉強会を行いました。
遠隔施工見学会の実施
昨年開催した遠隔施工見学会では、4日間で延べ約120名の参加がありました。
宮崎県椎葉村での遠隔施工現場
今年3月、宮崎県椎葉村での遠隔施工現場を視察しました。現場から約100キロ離れた旭建設本社から、女性が遠隔で重機を操縦する様子は大変刺激になりました。
イベント参加
宮崎から戻り、国土交通省主催の「建設分野のフィジカルAIを目指したピッチイベント」に参加しました。29団体がニーズやシーズを発表する初のイベントです。各社が考える取り組みや課題を共有し、私も発表しました。
知見を吸収してもらうため、見学会やイベントには必ず若い職員を連れていくことにしています。
ARを活用した施工管理
ARを活用した施工管理
スライドにARグラスをかけている私の写真を掲載しています。左側の写真は、AIグラス越しに見える橋脚耐震補強の水面下の様子です。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
MR(複合現実)技術を活用した技術の伝承
社員教育、熟練者に依存しない安全確保、生産性向上の仕組みづくりなどの課題に対して、MRデバイスやBIM/CIMを活用できないかと考えました。
試行のステップは、スライドにあるとおりです。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
この試行の狙いは、ARゴーグルを使い、ベテラン技術者から若手技術者へ、技術の伝承や情報共有をすることです。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
室内の様子
これは室内で見た時の様子です。施工ステップをレイヤー分けし、グラスをかけている本人に施工ステップが映るようになっています。仮設の検討や干渉チェックなど、室内での事前検討が可能になります。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
現場の様子
これは現場で投影した時の様子です。施工ステップごとに3Dモデルをレイヤー分けし、ハンドトラッキング(指で操作する手法)で操作し、現地で投影して、実寸大で確認します。施工検討で使っていますが、現場見学会や発注者検査でも好評です。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
AR体験
2025年、宮城県議会建設企業委員会の視察時に、AR体験をしてもらいました。技術者以外へのイメージ共有や情報共有にも有効な手段です。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
協議会での活用事例
事業全体の効率化を目指して、施工協議会で活用しました。
1本の河川を5業者7工事で施工する改修工事で、重機作業や運搬作業が混在する場所が多く発生しました。3Dモデルで、各社の進捗を色分けし、重機を配置しました。

出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
月1回の協議会では、ARを見ながら説明しました。グラスをかけていない人には、モニターで確認できるようにしました。始めはぎこちなかったのですが、少しずつ慣れて、工程や危険箇所の打ち合わせ等に使いました。
ICT施工は次の段階へ
ARを活用した技術は、現場全体の効率化を目指す「ICT施工StageII」の手段としても有効です。また、3Dでデータを残すことにより、今後の維持管理にも活用できると考えます。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
ただし、いくらICT活用が進んでも、発注者や住民を含めた工事関係者が協力して、課題に取り組むことが最も重要であるのは言うまでもありません。
施工支援ロボット製作
製作のきっかけ
施工支援ロボットは、4年前に受注した警察庁舎新築工事で、既成コンクリート杭基礎の内面確認をするための創意工夫から生まれました。
これまで製造工場に依存していた杭の製品管理を、施工者もできるようにすることが目的です。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
設計・製作
東京の株式会社イオラボと協力して製作しました。杭の内面を自走して撮影します。このロボットに「光祐(ミツスケ)」と愛称をつけました。

出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
専用コントローラーを使い、有線で動きます。この工事では360度カメラで全室の記録を残しました。現場の特性上、工場が複数ありましたが、どの工場でも有害箇所はありませんでした。

出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
情報発信にも積極的に
この現場では、リーフレットの作成、業界新聞掲載、杭メーカー見学など、積極的に発信することに努めました。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
今後の目標
初めてのロボット製作でしたが、改造する余地があることが分かった点も、大きな成果となりました。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
ミツスケの評価
令和5年度、全国建設業協会の技術研究発表会で、創意工夫部門の優秀賞をいただきました。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
2号機の製作
次の2号機は管の中を自由自在に曲がれるよう小型化しました。しかし、実現は難しいものでした。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
3号機の製作
懲りずに、次は3号機として中小口径直管対応機を製作しました。さまざまな管径に対応できるものとなります。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
こちらが試験走行の様子です。これも有線で、管径に合わせて足を張り出します。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
左の写真がミツスケで撮った動画、右側はそれを点群データに変換したものです。点群データに変換することで、クラック調査に活用でき、3Dデータとして残すことができます。今、増えているインフラメンテナンスにも活用できると考えています。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
4号機製作
今年、4台目を作りました。愛称は、インフラ点検ロボット「ROBO-KACHOシゲさん」です。
これが試運転の様子です。大きな特徴はクモ形になったこと、無線になったことです。ライトとカメラをつけ、主に橋梁補修工事のつり足場など狭い箇所での使用を考えています。今後はセンサーなどを搭載した遠隔自立型のロボットを目指しています。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
イベントへの出展
国土交通省主催の建築技術公開「EE東北」があります。丸本組も今年、3回目の出展をしました。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
やりがい動画制作
マイナス第1弾の制作
2019年、令和元年の台風が来た年に、初となるマイナス第1弾を制作しました。土木現場と建築現場を中心に、施工現場の職員のインタビューを混ぜたものとなっています。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
第1弾の制作
次は、2022年に国土交通省とタッグを組み制作しました。建設現場で働く人々の誇り・魅力・やりがいに関する取り組みの中の一つの作品で、「『明日のために』~未来の働き方にチャレンジ~」というタイトルです。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
新聞等でも取り上げていただきました。うれしいことに、北上川下流河川事務所からGood Job賞をいただくこともできました。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
以前の建築業界は「きつい・危険・汚い」の3Kの仕事でした。3KをAIでイラスト風にすると、まさに映画『黒部の太陽』のイメージです。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
今は「給与・休暇・希望」の新3Kの仕事となりました。時代の変化に合わせて、建設業界も大きく変わろうとしています。その一番の手段がデジタル技術です。AIも普及してきました。ただし、私には一抹の不安があります。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
第2弾の制作
そこで2025年に制作したのが、「大事なしごと」です。新3Kに対するアンチテーゼを少し織り交ぜました。当時の新入社員とベテラン社員が語り合う内容です。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
第3弾の制作
今年、第3弾を作りました。近日、公開予定です。令和元年東日本台風対策工事が令和8年3月に完了したことから、これまで作った動画や工事に携わった人たちにリスペクトを込めた、5分を超える総集編です。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
不易【伝えていきたい土木の心】
始まりは妄想ノート
さまざまな取り組みは、私の手書きノートからスタートしました。私はAIやデジタル技術の専門家ではありません。思ったことをノートに書きとめ、エッセンスをまとめていきました。
さまざまな人と夢を語り合いながら、「何かしたい」という気持ちを形にしています。

出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
DXとはデジタル技術による変革です。大事なことは機器の導入ではなく、自ら変わり続けることだと思います。そのヒントは過去から得ることもできます。
過去からのヒント
1990年、福島県県北流域の下水道工事が私の初めての現場となりました。ここから私の土木屋人生が始まりました。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
この現場で協力業者としてお世話になったのが、福島市の寿建設株式会社です。今も交流があります。2024年、KOTOBUKIフォーラムが開催され、元株式会社熊谷組代表取締役会長の大田弘氏による、「映画『黒部の太陽』のモデルとなった男」という講演に感銘を受けました。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
大田氏には当社の安全大会でも講演していただきました。
黒部ダム
土木屋三十数年が経過し、初めて黒部ダムに行きました。その時、土木屋の義務教育を終えたと感じました。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
大田氏からお借りした資料の抜粋を掲載しています。BIM/CIMがない時代の堤体イメージ図、今の労働安全では考えられないような資材路や測量の様子。「黒部にけがはない」といわれますが、それがよく分かる資料です。黒部ダムに至る資材運搬路や大町トンネルの破砕帯突破の話は今でも語り継がれています。
関西電力初代会長である太田垣士郎氏と、熊谷組の笹島信義氏をモデルにした映画が『黒部の太陽』です。多くの犠牲者を出した破砕帯突破という困難の克服には、この2人のリーダーが不可欠だったと考えます。建設・土木の仕事には、人間の物語は欠かせません。われわれがこれまで取り組んだAI、ARの試みも、発注者など多くの方の協力やコミュニケーションが必要不可欠でした。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
これは大町トンネル破砕帯を通過している様子です。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
素晴らしい堤体です。黒部ダムの完成から60年以上たちました。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
おわりに
今の時代、働き方改革、生産性向上、効率化は必要です。ただし、それだけでいいと私はどうしても思えません。
高度経済成長期や震災復興などに、多くの構造物が造られてきました。これからは造る時代から、「直す・壊す・終う」時代に移り、新設構造物にはより耐久性や品質が求められると思います。
土木技術者は先人の意志を継ぎ、自ら変化し、困難に挑みながら、モノづくりやその姿勢をつないでいく。これからの時代も、ここを忘れてはいけません。
吉田徳次郎博士の言葉は、今も変わらない考えだと思います。
出典:「『不易流行』~デジタル技術の活用と伝えていきたい土木屋の心~」セミナー資料より
私はこれまでヘルメットをかぶり続けてきました。この先、困難や変化を恐れない技術者が出てきて、任せられる日が来るまで、もうしばらくヘルメットをかぶり続けようと思います。

株式会社丸本組
執行役員 安全施工推進部統括部長
山岸 邦亘 氏
【本セミナーレポートに関する免責事項】
当サイトへの情報・資料の掲載には注意を払っておりますが、
最新性、有用性等その他一切の事項についていかなる保証をするものではありません。
また、当サイトに掲載している情報には、第三者が提供している情報が含まれていますが、
これらは皆さまの便宜のために提供しているものであり、
当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被ったいかなる損害についても、
当社および当社に情報を提供している第三者は一切の責任を負うものではありません。
また第三者が提供している情報が含まれている性質上、
掲載内容に関するお問い合わせに対応できない場合もございますので予めご了承ください。

建設業での生成AI活用法 ~大手ゼネコンの事例から中小企業での活用のヒントまで~



