新たな建設特需! 再生可能エネルギーが生む付加価値とは?

公開日:2022.12.10
更新日:2023.11.06

いまなぜ再生可能エネルギーなのか

2022年6月に発表された「エネルギー白書2022」は、カーボンニュートラル実現に向けた取組みと再生可能エネルギーへの転換に大きく頁が割かれた内容となりました。単なる特需に留まらない付加価値を生む再エネ事業。本稿では、わが国における主要エネルギーの変遷を振り返りつつ、再エネが建設業にもたらすメリットについて解説します。

再生可能エネルギーとは?

再生可能エネルギー(再エネ)とは、化石燃料や核燃料物質などの枯渇性資源に対し、枯渇の心配がない、自然界に存在する物理学的/生物学的なエネルギーを指します。

2012年から固定価格買取制度(FIT)の適用対象として政府が推奨する再エネは、太陽光・風力・地熱・バイオマス・水力の5つ(※詳細は別資料参照)。いずれも環境負荷が小さく、安全性に優れているのが特長です。

1970年代のオイルショックの際、資源に乏しいわが国でも国内生産できるクリーンエネルギーとして、一躍脚光を浴びた再エネ。ただ、技術的には実用段階であったものの、経済性と安定供給の課題から、普及に至らなかった経緯があります。国土が狭く平野も少ない日本では、太陽光や風力の効率的な活用が難しく、島国であることもあり他国との電力の融通が難しいことなど、地理的な不利もありました。

近年、その再エネに再び注目が集まり、政府主導で急ピッチの普及が進められています。

わが国の主要エネルギー変遷

原始の時代から、生活や仕事を効率化させるために火力・風力・水力は必要不可欠のものでした。ただ、インフラを通じたエネルギーの産業利用が始まったのは、わずかこの150年のこと。石炭・石油・ガス・電気、現在われわれの生活を支える主要エネルギーは、ほぼ時を同じくして明治時代初期に出揃っています。

【年譜】
1868年 長崎で洋式採炭が導入
1871年 長野石炭油会社が本邦初の石油の商業生産開始
1872年 横浜の馬車道にガス燈が設置
1886年 本邦初の電力会社・東京電燈が開業

黎明期において、これらのエネルギーはきわめて高価なものでした。ですが、エネルギー需要の急速な増加を受けて、遠距離高圧送電や大規模水力発電の技術が確立するなかで、普及と低価格化が進みます。

戦後の高度経済成長のなかで、モータリゼーションや重化学工業が急速に発展。エネルギーの主軸は、石炭から、よりエネルギー効率の高い石油へと転換します(エネルギー革命)。また、急速に伸長するエネルギー需要を賄うべく、1966年には本邦初の商業用原子力発電所、東海発電所(茨城県)が営業を開始しています。

従来エネルギーの問題点


現在もわれわれの暮らしを支えるこれらのエネルギーですが、それぞれ克服困難な課題を抱えていました。

ガスは移送・貯蔵コストが高く、石炭は有害な大気汚染物質を排出します。石油は国際情勢によって安定供給が困難なうえ、これら化石燃料はCO2排出により地球温暖化を促進してしまう問題が明らかになりました(参考:3つの分類で事例を整理! 建設業はカーボンニュートラルにどう取り組むべきか?)。

頼みの綱となる原子力も、2011年の東日本大震災の際に安全稼働が難しいことが露呈。エネルギーの主軸に据えるのは現実的といえず、枯渇の懸念があるのも化石燃料同様です。

こうした問題を解決する次世代エネルギーとして期待されているのが、再生可能エネルギーです。

資源エネルギー庁は、エネルギー白書2022のなかで「あらゆる政策を総動員し、最大限の導入を実現していく」姿勢を示しています。

再生可能エネルギープラント建設事例

再エネプラント建設は、まだまだ歴史が浅い分野です。それだけに、日本の建設業の高い技術力を応用すれば、いち早くノウハウを確立し、輸出や技術提供で国際的な優位に立てる余地があります。建設規模も巨大で定期的なメンテナンスも必要なため、長期的な雇用と収益も期待できるでしょう。

先に挙げた5つの再エネプラントについて、事例を踏まえて紹介しましょう。

2022年、東京都が新築建物への太陽光発電設備設置を義務づける新制度を検討していることを発表したことは、大きな話題になりました。都は太陽光発電に大きな期待を寄せており、同年11月には持続可能な都市構想をめざす東京ベイeSGプロジェクトの一環としても、国内初となる洋上浮体式太陽光発電事業を採択しています。国土の狭さや平野の少なさといったわが国特有の地理的不利を克服する施策であり、今後、東京ベイエリアを舞台に大規模な技術実証が行われる予定です。

陸上よりも安定して風が吹く海の上に風車を設置して発電するという着想で、1990年代、デンマークで開始された洋上風力発電。イギリスでは特にさかんな発電方式で、同じく四方を海に囲まれた日本にとっても期待される再エネのひとつです。2022年10月には、秋田県沖に日本初の洋上風車の設置工事が完了しました。

事業規模は数千億円、関連産業への経済効果も含めて有望なモデルケースとして注目されています。

経済産業省が推進する2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略のなかで、太陽光発電・洋上風力発電と並んで次世代の再エネのひとつに位置づけられているのが地熱発電です。ほか二つに比較すると耳馴染みがないかもしれませんが、地下の地熱エネルギーを使うため、昼夜・天候を問わない安定した発電が可能。火山国であるわが国との地理的相性も抜群です。1966年、松川地熱発電所(岩手県)で初めて実用化されています。

長年、研究開発への支援に恵まれなかったものの、東日本大震災での反省からにわかに再注目が集まりました。2019年1月には22年ぶりの大規模地熱発電所となる松尾八幡平地地熱発電所(同県)が、5月には山葵沢地熱発電所(秋田県)が運転を開始しています。

その他、国内で続々とプラント建設されているのがバイオマス発電です。家畜排泄物や稲藁などの生物由来資源を、直接燃焼させたりガス化して発電する仕組みですが、その際排出するCO2はもともと生物の成長過程で光合成により大気中から吸収したものであるため、カーボンニュートラルな発電方式とされています。

新潟県の生ごみバイオガス発電センターでは、生ごみを再活用した発電を行っており、1日あたりの発電規模は12,300キロワットに達します。廃棄される余剰資源を無駄なく活用できるのが、バイオマス発電の強みです。

水力発電は、かつてわが国の主力電源として経済成長を支えてきた歴史があります。日本の狭い国土で新しく大規模ダムを建設できる余地は少ないのが現状ですが、成熟した技術力を活かすべく中小水力発電の開発が進められています。

環境維持のために設置されていたダムを利用した和歌山県の有田川町営二川小水力発電所は、年間約120万キロワット(一般家庭300世帯相当)を賄いながら約610トンのCO2を削減できるとされており、新エネルギー財団が主催する新エネ大賞で資源エネルギー庁長官賞を受賞しています。

カーボンニュートラルに向けたご提案

カーボンニュートラル

政府による推進、投資もあり、再エネ関連の建設需要は今後も堅調と予測できます(※詳細は別資料参照)。建設業にとっては大きなビジネスチャンスといえますが、多くの事業者様が利潤以上の動機――すなわちカーボンニュートラルという社会課題解決を主軸に据えて取り組んでいることは非常に現代的といえるでしょう。

社会課題を解決することで利益を生む経営戦略はCSV(Creating Shared Value)と呼ばれ、持続可能な社会づくりをめざすSDGs時代の新たなビジネススタンダードとして注目されています。

カーボンニュートラルへの取組みは、再エネ事業に限りません。ITの導入、いわゆるDX(デジタル・トランスフォーメーション)も、そうした施策のひとつです。

統計によれば、通勤で利用される交通機関のうち46.5%を自家用車が占めますが、テレワークを導入すれば、CO2の大幅削減が可能です。同様、ペーパーレス化を進めれば紙の原料となる森林を守ることに繋がるでしょう。

内田洋行ITソリューションズでは、業務効率化やコスト削減を図りながらCSV実現に資するソリューションを数多くご案内しています。

再エネと建設/建築業の関わり、きたるべき脱炭素時代に向けて建設業が押さえておくべきホットワードとともに、PDF資料にまとめました。

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DL資料


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【参考】
・経済産業省資源エネルギー庁「エネルギー白書2022
・経済産業省資源エネルギー庁「【日本のエネルギー、150年の歴史①】日本の近代エネルギー産業は、文明開化と共に産声を上げた
・経済産業省資源エネルギー庁「なっとく!再生可能エネルギー
・経済産業省・国土交通省「これからの再生可能エネルギー 洋上風力発電を知ろう
・東京都政策企画局「東京ベイeSGプロジェクト
・国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機「洋上風力の産業競争力強化に向けた技術開発ロードマップ
・洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会「洋上風力産業ビジョン(第1次)
・経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略
・環境展望台「環境技術解説バイオマス発電
・総務省統計局「平成22年国勢調査

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