国土強靭化のための5カ年加速化対策
日本は列島が4つのプレートに位置していること、およびアジアモンスーン地域に位置していることなどから、自然災害に多く見舞われる国です。毎年初夏を過ぎれば、しばしば集中豪雨が起き、近頃では規模の大きな地震が頻発しています。これまでの台風、豪雨、大規模地震を教訓に、インフラ整備やわかりやすい防災情報発信、避難訓練など総合的な災害対策の必要性が認識されました。
CONTENTS
01.国土強靭化の概要
02.国土強靭化のための5カ年加速化対策
03.国土強靭化で重点的に取り組む3つの分野
04.国土強靭化と建設産業の今後
国土強靭化の概要
国土強靭化とは、大規模な自然災害が発生した際に人命を守り、経済社会への被害を抑え、迅速に回復させることが可能な国土および経済社会システムを平時から構築することを指します。
国土強靭化の基本目標
- 人命の保護が最大限図られること
- 国家及び社会の重要な機能が
致命的な障害を受けず維持されること - 国民の財産及び公共施設に係る被害の最小化
- 迅速な復旧復興
参考:内閣官房国土強靭化推進室「国土強靭化進めよう!」より
国土強靭化のための5カ年加速化対策
国土強靭化のための5カ年加速化対策は、文字通り国土強靭化施策の加速化・深化を図るために追加された措置です。激甚化・頻発化する気象災害や南海トラフ地震に対して、国民の生命・財産を守るとともに社会の重要な機能を維持するための国土強靭化をデジタル技術の活用等をもって効率的に進める意図があります。
後程ご紹介する3つの分野について、令和3年度から令和7年度までの5カ年に追加的に必要となる事業規模等を定め、重点的・集中的に対策を講じます。
国土強靭化で重点的に取り組む3つの分野
国土強靭化のための5カ年加速化対策では、大きく3つのカテゴリに分けて重点的に対策をとるとされています。
激甚化する風水害や切迫する大規模地震への対策
気候変動に伴い、猛威を増し頻発化している自然災害に対応するため、事前防災対策を推進します。また、大規模地震の発生時に緊急物資輸送機能等の確保のため、社会資本の耐震対策等を推進します。
- 人命・財産の被害を防止・最小化するための対策
- 交通ネットワーク・ライフラインの維持
予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策
緊急又は早期に措置すべき社会資本に対する修繕等の対策を推進します。
特に現時点で対応が遅れている河川やダムなどの老朽化施設や、定期点検等で修繕が必要と判断されている道路・トンネル等を集中的に実施します。
国土強靭化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進
国土強靭化事業を円滑に実施するためにICT活用を推進します。観測体制の強化やスパコン等を活用し、気象予測を高度化します。
- 国土強靭化に関する施策のデジタル化
- 災害関連情報の予測、収集・集積・伝達の高度化
国土強靭化と建設産業の今後
国土交通省の調査によれば、高度成長期以降に整備されたインフラについて建設後約50年以上経過するものの割合が加速度的に増加するとされています。各インフラの修繕需要が高まり、建設業界全体に影響を与えることが予想されます。
H25年3月 | H35年3月 | H45年3月 | |
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道路橋 約40万橋(横長2m以上の橋約70万のうち) | 約18% | 約43% | 約67% |
トンネル 約1万本 | 約20% | 約34% | 約50% |
河川管理施設 約1万施設 | 約25% | 約43% | 約64% |
下水道管渠 総延長:約45万km | 約2% | 約9% | 約24% |
港湾岸壁 約5千施設(推進-4.5m以深) | 約8% | 約32% | 約58% |
一方で、建設業界の人手不足も深刻化しています。今後の建設事業を継続するために対策の1つとして挙げられているICT活用の推進は、少ない人数で業務を遂行・継続するために有効です。
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【参考】
・国土交通省「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策 概要」
・内閣官房国土強靭化推進室「国土強靭化進めよう!」