2025年問題に備える! 建設業の人手不足対策

公開日:2022.6.10
更新日:2023.9.19

建設業活況の裏で問題となる人手不足

東京五輪に続き大阪万博など、大型プロジェクトに沸く建設業。ただ、活況の一方で、深刻な労働力不足が懸念されています。2025年問題を受け、全産業で若手人材の採用が難しくなるなか、建設業はどう切り抜けるべきか? 本稿で、統計や事例を基にまとめました。

2025年問題とは

2025年問題とは、戦後すぐの第一次ベビーブーム(1947~49年)の時に生まれた、いわゆる“団塊の世代”が後期高齢者(75歳)の年齢に達し、医療や介護などの社会保障費の急増が懸念される問題のことをいいます。

国土交通省の資料によると、建設業の就業者は55歳以上が約34%、29歳以下が約11%と高齢化が進んでおり、60歳以上である約80万人について10年の間に引退するであろうと見込まれています。それに対し、若年層の雇用は、目に見えて進んでいません。2025年には、建設業界での働き手が約90万人不足するといわれており、次世代を引き継ぐ若手人材確保について苦慮されている建設事業者様も多いのではないでしょうか。

建設業が人手不足に陥る理由

全産業のなかでも、建設業は特に人手不足が深刻であるといわれています。その最たる理由は、未だ根強くある建設業の職場環境へのマイナスイメージです。建設業においても多くの事業者様が働き方改革に取り組んでおり、環境が整備されつつある現代にあっても、それらの実態が若年世代に伝わりきっているとは言い難いのが現状です。若年世代にとって建設業は「きつい、きたない、危険」のいわゆる3Kのイメージが先行しており、近年ではさらにここに「厳しい・帰れない・給料が安い」の意味も加わっています。

国土交通省の調査によれば、建設業の2016年度における年間総実労働時間は2,056時間と、全産業の平均より336時間長いことが明らかとなりました。加えて休日が少なく、同調査によると、建設工事全体で約65%が4週4休以下で就業している状況です。若年世代の確保には、こうした長時間労働の改善が必要です。

建設業の人手を確保する3つのポイント

人手不足の要因のひとつは、若年世代の進路志望先に建設業が挙がりづらいことです。若年世代に興味を持ってもらうために、旧来の建設業に対するイメージを払拭する必要があるでしょう。

SNSやWEBサイトを用いて建設現場で活躍する若手人材のイメージを共有したり、建設現場の仮囲いに窓を設けて中の様子を見られるようにして接点をつくったりといった施策が例として挙げられます。また、事業者様によっては、小中学生向けに大型重機への試乗会や見学会を催し、たいへんな好評を得ています。

雇用促進

建設現場では、工事が天候に左右されてしまい、作業を中断することも多々あります。工期に余裕がないと、遅れたぶんの作業を取り戻すため、労働時間が長時間にならざるを得ません。

こうしたことを避けるために、適切な工期を設定する必要があります。国土交通省によって2018年3月に発表された「働き方改革加速化プログラム」では、適切な工期設定を推進しており、公共工事では余裕のある工期が設定がされています。

参考:「2024年、労働時間に上限規制! 建設業の働き方改革を考える

適切な工期設定

建設業のイメージ改善で若手人材を確保し、離職率が改善したとしても、人手不足を完全に解消させるのは難しいでしょう。システムやツールの導入、ICT建機の活用など、少ない人手でも従来通り事業が継続できるよう生産性を向上させることは必要不可欠です。

建設現場ではドローンやウェアラブルカメラといった作業効率化ツール、事業所内では建設業向けの基幹システムや勤怠・ワークフロー管理システムなどが挙げられます。

システム化

少子高齢化による人手不足は、日本の全産業で問題となっており、あらゆる事業者様にとって事前対策が必要です。労働環境の見直しや人手を確保する施策、また、少ない人員でも事業を継続できる仕組みを構築しておくことが肝要です。

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DL資料

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【参考】
・国土交通省「建設業及び建設工事従事者の現状
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