営業現場にもDXを! 今後の建設業を左右する3つのセールステックとは

公開日:2022.8.10
更新日:2023.9.19

建設業活況の裏で問題となる人手不足

建設現場ではスローガンとしてすっかり定着したDX。ですが、営業現場のDXは万全でしょうか? 労働人口の減少、ビッグデータの重要性の高まりを受け、現在、各産業でセールステックの導入が進められています。巨額を扱うことで営業スタッフの負担が大きい建設業では、特に高い導入効果を見込めます。本稿では、セールステックの概要と営業活動自動化の可能性についてまとめました。

建設業がセールステックを採り入れるべき理由

2016年に国土交通省が始動したi-Constructionの取組みによって、建設現場にも積極的にICTが導入され、急速にDXが進みつつあります。ドローンによる測量やICT建機の活用、ウェアラブル端末による遠隔管理などは、建設現場においてすでに珍しい事例ではありません(参考:「2025年の崖」対策は万全ですか? 建設業界のDX事例)。

建設業のDXといえば、こうした視覚的に見栄えがする建設現場のDXに目が行きがちですが、同業種は精力的な営業活動との両輪で成り立つ業種です。大きな金額が動く産業のため、見積比較も厳しく、顧客との深い関係性構築も欠かせません。

自然、顧客第一となるため土日出勤が多くなります。営業スタッフの負担が非常に大きい業種のひとつといわれる所以です。


労働人口が下降線を辿り、人手不足問題が取り沙汰される昨今、建設技術者のみならず、今後、営業スタッフの人員確保が難しくなるのも必然です。また、2024年には労働時間の上限規制が建設業にも適用されることを考えると、建設現場同様、営業現場も少ない人員で利益を生むための仕組みづくりが不可欠となるでしょう。

アメリカでは、すでに営業スタッフをテクノロジーで代替する動き、いわゆるセールステックの導入が活発です。上述の理由から、建設業にこそ求められている新技術といえるでしょう。

セールステックとは

セールステックとは「Sales」と「Technology」、二つの言葉を組み合わせた造語で、営業活動をITによって効率化させるツールのこと。究極的な言い方をすれば、その目的は営業活動の自動化です。

会計や労務といった事務作業をITに置き換えるのは理解できても、営業活動をITで代替するなんて、ほんとうにできるのか? 多くの事業者様が、疑問をお感じになるのではないでしょうか。

これまでは、営業スタッフ個人の経験や勘などの属人的なスキルが重要と考えられてきました。そのため、セールステックという概念そのものに抵抗を示す方がおられるのは、無理からぬことといえます。

ですが、実際にアメリカの新興電気自動車メーカー、テスラ・モーターズ社が営業スタッフやディーラーをいっさい雇わないという革新的な経営手法によって爆発的に売上を伸ばしている事例があります。

同社の製品は売買のすべてがWeb上で完結するため、製品価格に営業費用が上乗せされません。そのため高い利益率を実現でき、2021年の通期売上は538億米ドル、通期利益は55億米ドルと過去最高を記録しています。

営業職のなかでもとりわけ専門性が高いとされる製薬会社のMR(Medical Representatives;医薬情報担当者)でさえ、近年ではAIに代替されつつあります。

コスト増を嫌う製薬会社は、大手を中心にMRの新規採用見直しおよび人員の削減を図っており、この傾向は今後、より強くなるでしょう。


MR白書(2021年版)によれば、2021年3月31日時点でMRの総数は53,586名。7年連続の減少で、2013年との比較で12,166名減。この減少トレンドは、今後も続くとみられています。

上記のような極端な例でなくとも、営業活動の自動化は、現在、全産業で積極的に取り組まれている大きなテーマのひとつです。これまで人間の営業スタッフが行っていた営業活動を3つのプロセスに切り分け、それぞれをITに置き換えることで、営業スタッフの負担を大幅に減らすことができるといわれています。

図3

営業活動を自動化する3大セールステック

MA(Marketing Automation)は、営業活動の初期段階、見込み客へのアプローチを自動化してくれるツールです。顧客情報の収集、見込み客の育成(ナーチャリング)、マーケティング施策の分析などが守備範囲となります。

具体的にいえば、自社Webサイト、LP、DMやセミナーなど、様々な接点で得た見込み客情報を一元管理し、行動履歴から自社製品への関心度の高さをスコアリングします。関心スコアの高い見込み客に最適なタイミングで営業メールを自動送信する、といったことも可能です。

また、メールの開封率、CTR(Click Through Rate;クリック率)やCVR(Conversion Rate;コンバージョン率)を分析、精度の高いメールマーケティングを実現します。

MA

SFA(Sales Forth Automation)は営業活動の第二段階、提案からクロージングまでを自動化するためのツールで、営業支援システムとも呼ばれます。顧客の名刺情報、営業部門の行動や商談の進捗状況・結果までをデータとして蓄積し、一元管理。これまで属人化されがちだった営業活動を“視える化”します。

SFAがあれば、クラウド名刺管理アプリと組み合わせて、営業スタッフのだれかが入手した見込み客の名刺情報をチーム内で共有できます。商談の進捗状況も一元管理できるため、仮に担当者が不在でも、これまでの記録を基にほかのスタッフで対応できるようになります。また、退職者が発生した際も煩雑な引継ぎが不要になるでしょう。

内田洋行ITソリューションズでは、使い勝手がシンプルで用途も広い業務改善プラットフォーム「kintone(キントーン)」の営業支援(SFA)パックをお勧めしております。

SFA

CRM(Customer Relationship Management)は、営業活動の最終段階、商品購入後の顧客との関係性を維持するためのツールです。

購入顧客の情報を一元管理し、顧客の傾向や属性を把握・分析。計画・実行・評価・改善のPDCAサイクルを高速化させることが可能です。さらに、購買金額・頻度など、さまざまな条件で顧客を抽出して、新たなマーケティング施策に繋ぐことができます。

CRM

SFAについてもっと知りたい事業者様へ

本稿では、加速する人手不足を打開する切り札として、3つのセールステックの概要についてご説明しました。PCやeメール、スマートフォンが普及したことで劇的に業務効率化が図られたように、今後、あらゆる企業でセールステックが活用される光景が当たり前になるでしょう。他社に先駆けていち早く活用すれば、大きなアドバンテージになる筈です。

内田洋行ITソリューションズで発行しております情報誌「建設ITマガジン」Vol.10では、建設業のSFAについて特集を組んでいます。

無料でダウンロードいただけるPDF版をご用意しています。セールステックに興味がある、より詳しく知りたい事業者様は、ぜひこちらもご活用ください。

PV

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