古久根建設株式会社
- 設立
- 1946年8月(創業 1895年)
- 代表取締役社長
- 鈴木 眞一
- 資本金等
- 1億円
- 社員数
- 153名(2020年4月現在)
- 本社所在地
- 東京都文京区音羽一丁目1番1号
- Webサイト
- http://www.kokune.co.jp/
▲古久根建設株式会社 本社
1895年創業。“豊かな暮らしとともに「生きる」を支える”をグループ方針に据え、「技術と信用」を経営の指針として技術の研鑽と品質の確保に努めてきた。
現在は建築と土木を事業の2本柱とし、首都圏・東北を主な営業基盤としてマンション、事務所ビル、ホテル、工場、医療・福祉施設、公共施設、河川工事、農業土木工事等のあらゆる分野で多様化するニーズにお応えしている。
2010年にリネンサプライヤー大手のワタキューセイモア株式会社と資本提携し、医療・福祉・健康の分野においても施設の企画から設計・施工・運営までトータルに長年の知見を活かしている。
△取締役副社長 佐々木 寛 氏
古久根建設株式会社(以下、古久根建設)は、20年以上使い続けてきたオフコンでの管理に限界を感じ、建設工事業界向けERPへの移行を決断し、レガシーマイグレーションを実施しました。パッケージには内田洋行ITソリューションズ(以下、ITS)の建設・工事業ERPシステム「PROCES.S」を選択。工事進行基準に則った月次決算を実現し、決算処理の迅速化と効率化を同時に実現しました。
また、新型コロナウイルスによる緊急事態措置発令後も、クラウド型パッケージの利点を活かし、担当者がリモートで必要な業務を可能にするなど、事業継続の手段としても導入に大きなメリットを感じています。
システム導入の課題と効果
導入前の課題
- オフコン管理の限界による安定運用への不安が増大
- システムが複雑化・ブラックボックス化して運用負担が増加
導入後の効果
- クラウド型ERPパッケージ導入で安定運用を実現
- 工事進行基準での月次決算が可能になり決算処理の早期化と効率化が実現
導入の背景
オフコン管理の限界と人材不足によりERPパッケージ導入を検討
以前の業務システムにはどのような課題がありましたか?
当社は1979年にオフコンのIBM System/34を導入し、その後もIBM System/38、IBM AS/400にアップグレードするなど、基幹システムを時代に合わせて更新し続けてきました。インフラ自体は安定し、信頼できるものでしたが、時の経過に伴いオフコン管理に限界を感じるとともに今後の運用に不安が生じました。
また、当初は会計だけの利用でしたが、給与や人事、原価管理も追加されるようになり、システムが複雑なものになっていたのです。実際に動いているプログラム総数は3000本を超え、使われていないものも多数あり、ドキュメント化も行えない状態でありました。そのため、法改正、消費増税、所得税改正などがある度に、古いプログラムの中身を解析する必要がありました。
さらに、バブル以後は保守・運用担当の人員も大幅に削減され、後継者の育成も難しく、システムの維持管理が困難な状況になっていました。そのため、今後は業務に合わせて改修を続けていくオフコンでの運用は困難だと判断。建設工事業向けパッケージ導入を検討し、業務そのものをERPに合わせる運用に切り替えることが課題となりました。
△監査役
石井 亮二 氏
導入のポイント
建設工事に特化したERPと業界共通言語で相談できる安心感
システム刷新にあたり、どのような点を重視されましたか?
最も重視したのは、細かな部分まで機能が行き届き、当社が希望する業務のやり方に最も仕様が合っていることでした。ERPベンダーの中から、建設工事業界向けのモジュールを備えた5製品ほどをピックアップ。2015年頃からデモも交えてじっくりと比較検討しました。その結果、最も当社の業務に適切だと判断されたのが、PROCES.Sだったのです。
注目したポイントは主に3つありました。
1つ目は、建設工事業に特化したERPであること。PROCES.Sは業界特有の商習慣に合わせた機能や専門用語が標準で使えるため、現場の担当者にも受け入れられやすく、親和性も高いと感じました。また、ITSの担当営業やSEの中には建設業関連の資格を持つ人も多く、業界に特化した知見も豊富に備えていました。建設業の知識を持った人が共通言語で相談に乗ってくれるのは大きな安心につながりました。
△取締役 管理本部長
鹿野 浩美 氏
2つ目は、カスタマイズへの柔軟性。PROCES.Sは一定のアドオン開発にも柔軟に対応できる点が特徴です。当社は歴史が長く、使い慣れた帳票も多いため、それらを大幅に変更すると現場担当者に負担をかけてしまいます。現行の帳票スタイルに近づけるようなカスタマイズがPROCES.Sでは容易に可能だったのです。
そして3つ目は、ERP以外のIT相談もできるベンダーであること。当社は情報システム管理に専任者を置かないため、今後クライアントパソコンの入れ替えや、ネットワーク機器の更新などをトータルにサポートしてくれるベンダーを望んでいました。ITSはICT機器やソフトウェアのトータルサプライヤーでもあり、その懐の深さがベンダー選定の決め手にもなりました。
2016年10月にPROCES.S導入プロジェクトがキックオフし、翌2017年1月に基本設計が完了。テストや環境構築、一部帳票のカスタマイズを経て、2017年6月に導入が完了しました。データ移行時も大きなトラブルはなくスムーズに行われ、7月に PROCES.Sの本稼働が開始されました。
△管理部総務人事課 係長
馬場 勇太 氏
導入の効果と今後の展開
工事進行基準に則った月次決算が可能になり、決算処理の負担が大幅に軽減
PROCES.Sの導入後、どのような変化がありましたか?
全く問題なく安定稼働しています。具体的な機能としては、財務・債務管理、原価・発注管理、請求・入金管理、手形期日払い管理、JV管理のほか、給与・労賃管理や人事管理などが連携しています。
古久根建設株式会社さまが設計・施工を担当したワタキューセイモア株式会社の岩国工場が2020年5月完成。
医療機関や福祉施設、ホテル等へのリネンサプライ生産供給体制の充実・強化を図るために建設した自社工場。
PROCES.Sの導入により、大きく3つの変化がありました。
第1は、決算処理や月締め処理の早期化です。工事進行基準に則った月次決算が実現し、決算処理が非常に楽になりました。それにより、支払集計など毎月の処理が3日ほどスピードアップされ、貸借対照表(BS) や 損益計算書(PL)など財務諸表作成も非常に効率化されました。
第2に、紙の削減。従来は社員の給与明細を紙で配布していましたが、現在はメールで明細ファイルを添付して送信できるようになり、ペーパーレス化や処理の迅速化が図られています。支払手形も以前はチェックライターで発行していましたが、現在は普通のプリンターでも発行できるようになり、業務が大きく改善されたと分析しています。
第3が、新型コロナウイルス感染症にかかる緊急事態措置への対応です。PROCES.Sを導入したことにより、担当者が自宅からリモートでクラウド上のPROCES.Sにアクセスし、業務を続行できるようになりました。東京都の外出自粛要請は予想していませんでしたので、4月から5月にかけての自宅待機中にも給与メールを送信したり、電話での問い合わせにも対処したりできるようになったのは、まさにPROCES.Sのおかげです。万一、再び緊急事態が発令されても、基本的な財務・人事・給与の面での業務継続は可能になったと思います。
▲古久根建設のPROCES.Sモジュール稼働状況
今後は、現場の実行予算や管理月報などの原価管理にPROCES.Sを活用していく予定です。年度内に現場原価管理モジュールとワークフローを追加で導入し、工事部門の実行予算、発注、原価管理の効率化や精度向上、業務のチェック強化などを図っていく考えです。
今回のPROCES.S導入プロジェクトにおいては、ITSの営業やSEから誠実に対応していただき、非常に良い選択をさせていただきました。これからも最新情報の提供など一層のサポートを期待しています。
※掲載内容は取材時点のものです。