建設業における予実管理とは?
予実管理とは、予算と実績の比較を通じてプロジェクトの財務状況を管理・監視する手法のことです。
プロジェクトにおいて、予算と実績の差異を把握し、費用の逸脱や問題点を早期に発見することが目的です。
具体的には、予算の策定、実績の記録・集計、予実の比較と分析、対策の立案と改善などのプロセスが含まれ、適切に管理することで、プロジェクト予算の管理やリスク管理を効果的に行い、プロジェクトを成功へ導くことに繋がります。
建設業界は、特に外部要因による変動の影響を受けやすく、原材料価格の変動、天候条件、法規制の変更などが予算と実績に影響を与え、予実管理の正確性を損ないやすいといえます。
そのため、事前に設定した予算に基づいて工事を実施し、予算通りに売上として実績を計上するには、細かな予実管理が極めて重要です。
予実管理が重要視される4つの理由
1.適切な経営判断を下すため
企業は自社の実績が経営目標に対して順調なのか、どのような課題があるのかを常に把握しておく必要があります。目標を立てるだけでただ漠然と経営状況を捉えているだけでは予実管理とは言えず、定量的に分析することが必要です。予実管理によって個々のプロジェクト状況を可視化することによって、実績を把握する事に繋がり、適切な判断に役立てることができます。
2.数値目標の設定や見直しに活用し、利益を確保するため
建設プロジェクトは膨大な予算がかかります。そのため、常に予定しているスケジュールと乖離が無いか確認するために予算を適切に管理することが必要です。予実管理を行う事で、実際にかかった費用と予算の使用状況を比較し、予算の超過が無いか、無駄な支出が無いか、早期に問題を把握することができます。これにより、コストを適切に管理し、安定的な利益を確保することに繋がります。
3.工期を守り、無駄なコストを減らすため
建設プロジェクトでは、工期を遵守することが非常に重要です。
工期を守る事は、工事原価を低減させ粗利率を向上させることにもつながります。全体の工程を考える際は、人員計画や材料・機材手配も同時に考えます。工程管理がうまくできていれば、人件費や材料費は計画通りのコストしかかかりません。
しかし、計画にずれが生じると人件費や材料費に想定外のコストが発生します。本来必要のなかった費用は、粗利を圧迫し会社に残る利益を減らす原因になります。適切な工程管理ができると無駄を減らせるため、想定外の費用がなくなり工事原価を低減できます。
結果、工期を守ることが、工期の延長や追加コストの発生を最小限に抑えることに繋がります。
4.品質を確保するため
建設プロジェクトにはさまざまなリスク要素が存在します。工期を遵守することで、プロジェクトの遅延を防ぎ、建物の品質を向上させることにも繋がります。品質を守るためには、正しい手順で工事を進めることが重要といえます。しかし、工期に余裕がなくなると手順がバラバラになりがちです。
予実管理のやり方・手順とは?
実際に予実管理を行うための手順を4つの段階に分けてご紹介します。
1.必要な情報を収集しプロジェクト予算を設定する
まずはじめに、プロジェクトの目標や要件に基づいて予算を設定します。
予算額は、企業や組織が求める利益を基に設定しますが、それは現実的に達成可能な目標でなければなりません。
予算作成においては、「正確な予測と見積もり」、「天候や建材料の変動に考慮すること」、「プロジェクトの売上目標に基づくこと」が重要です。
「正確な予測と見積もり」
正確に予測するには、過去の実績や成長率から大きく外れていないこと、業界・競合他社の実績や成長率から外れていないことが重要です。そのために、予算設定に必要な情報を事前に収集しておきましょう。
低すぎる予算ではプロジェクトの失敗に繋がります。工事範囲や要件を適切に把握したうえで、プロジェクトに必要な材料費、労働費、設備費などの要素を正確に見積もることが重要です。過去のデータや類似プロジェクトの経験を活用して、予算の妥当性を確保する事が重要です。
「天候や建材料の変動に考慮すること」
特に建設業のプロジェクトでは、建材料価格の変動や、天候によるスケジュール変化、などの外的要因に対して柔軟性を持たせる事が必要です。それを踏まえた上で、建材料価格の変動による予備費を組み込むことや、天候が変動した場合のスケジュールを考慮することが重要です。
「プロジェクトの売上目標に基づくこと」
予算はプロジェクトの売上目標に基づいて、作成する必要があります。妥当な利益を得られる工期を設定し、プロジェクトの優先順位に基づいて人的リソースを配分して、目標を達成できる範囲での予算を割り当てる事が重要です。
以上の3つの要点を抑えて、各項目の見積もりを行い、プロジェクト予算を設定します。
2.月次で工事プロジェクトの実績を記録する
工事プロジェクトの進行にあわせて、月次で作業の進捗状況や費用を記録します。日々の実績を正確に記録することで、プロジェクトの状況を把握し、予実の比較や分析に役立てます。
3.予算と実績を比較し、分析する
設定した予算と実績を比較し、目標に対する進捗率や費用の逸脱などを分析します。
目標としていた営業利益と実際の利益に差があれば、費用の逸脱要因や問題箇所を分析し、適切な対策を立案することが重要です。
4.対策の立案と実行
予実の分析結果を基に、費用の逸脱や問題点に対する対策案を立案します。
予算の見直しや、作業プロセスの改善・効率化などの対策を実施し、予実とのギャップを縮めることを目指します。
予実管理をリアルタイムで行うメリット
建設業において予実管理をリアルタイムで行うと、以下のようなメリットがあります。
経営改善のスピードが上がる
リアルタイムな予実管理を行う事でプロジェクトや業務の進捗状況を即座に把握することができます。毎月の会計数値が確定したらすぐに実績結果として予算と比較することで、タイムリーに予算と実績の「差異」を分析することができます。その結果、問題点を早い段階で見つけて対処できるようになり、経営改善のスピードがあがります。
最終予想利益の早期把握が可能になる
リアルタイムな予実管理では、現時点までの進捗データをもとに将来の予測を行うため進捗に応じた予測の精度が向上します。実績データが逐次的に反映されるため、予測はより現実的で正確なものとなります。これにより、プロジェクトや業務の最終的な成果物や収益に対する見通しが早期に得られ、最終利益の早期把握が可能になります。
システムを導入して適切な予実管理を
建設業は、工期が長く費目や金額の多さから、建設工事業が利益を拡大させるためには、最終工事原価と利益の予測が重要です。契約前の案件情報や受注後の工事情報の予想利益の管理が行えます。
この原価管理が徹底できず、工期が終わってから実行予算を超えていたことが発覚し、利益が減っていたということが建設工事業ではよく起こります。
自社の財務状況を正しく把握し、利益目標を達成するために現場ごとでの実行予算の作成を行い、実行予算を踏み外さないように日常の管理をしていくことが重要となります。
PROCES.Sで行う予実管理の特長
利益予測を見える化!
契約前の案件情報や受注後の工事情報の予想利益の管理が行えます。
- 今後支出を含めた最終予想利益が確認できる
- 発注残について確認が可能
最終予想利益の早期把握が可能になる!
リアルタイムな予実管理で利益を確保できる
- 今後支出見込により、最終予想利益の早期把握が可能です。
- 原価の予想と実績の把握ができるため、早期で赤字の発見や予算内工事への現場改善に役立ちます。
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