【2023最新版】建設業向け! オススメ補助金/助成金6選

公開日:2023.5.08
更新日:2024.8.18

建設業の強い味方、補助金/助成金を一挙紹介

2023年、新型コロナ禍からの経済回復を背景に、建設業では人手不足が加速しています。加えて、働き方改革の影響で人材確保のためのコストも急騰しており、建設業の資金繰りは過去類をみないほど困難な局面にあるといえるでしょう。とはいえ、基幹産業である建設業には、国からの支援策も手厚く用意されています。数ある補助金・助成金から、建設業事業者さま向けに厳選したものを6つ、ご紹介します。

補助金/助成金とは?

補助金と助成金はいずれも国が推進する政策に賛同して活動する事業者を支援するために交付されるお金です。資金調達において主な手段となる融資とは異なり、いずれも返済の必要がない、という大きなメリットがあります。

厳密な定義はないにせよ、一般的な傾向として補助金と助成金は次項のように大別されます。理解を深めるために、まずは両者の違いについて整理してみましょう。

補助金と助成金では、まず、それぞれの管轄と財源が違います。

IT導入補助金に代表される補助金の管轄は、多くの場合、経済産業省(※中小企業庁は経産省の外局)か自治体で、財源は税金です。

一方、雇用関係の取組みに対して交付される助成金のほとんどは厚生労働省の管轄で、財源は雇用保険料になります。※稀に自治体主催のものもあります。

表1 補助金と助成金の違い
補助金 助成金
管轄 経済産業省
(中小企業庁)
厚生労働省
財源 税金 雇用保険料
交付 審査次第 条件をみたせば必ず交付
募集 公募期間がある 通年

その他の違いも含めて別表にまとめていますので、そちらもご確認ください。

同一の事業者が複数の補助金を併用する、といったことももちろん可能であり、その旨は多くの補助金公式サイトにも明記されています。ただし、同一事業で複数の補助金を受けることはできません。同一の事業者が複数の補助金を併用する場合、内容が異なる別の事業であることが要件となります。

例を挙げれば、不動産事業者A社がクラウド型ERPを導入する際にIT導入補助金の交付を受け、同時にノウハウを活かして建設業に事業転換して事業再構築補助金の交付を受ける――といったことが可能です。

申請方法は?

補助金や助成金の申請には、デジタル庁が運営する共通認証システムgBizID(ジービズアイディー)を使います。ひとつのアカウントから、補助金/助成金のほかさまざまな行政サービスへの電子申請が可能となります。

同サービスは無料で使うことができ、発行も簡単。ぜひ、この機会に登録をご検討されては如何でしょうか。

種類によって補助金や助成金の交付時期はまちまちですが、いずれも事業に対して後払いであることは注意点といえます。申請/承認から一年後に交付といったスケジュールのものも多いため、急場しのぎの活用には向きません。余裕を持った資金調達は、大前提となります。

建設業こそ補助金/助成金活用を検討すべき理由

建設補助金

ご存知のように、建設業は取引金額が高額になりがちで、納品にあたる竣工・引渡しまでの期間が長いという特性を抱えています。未成工事受入金が発生することはありますが、多くの場合、完成工事未収入金を実際に回収するまでには、長い時間が必要です。建設業では、慣行として手形取引も多いため、決算上は黒字でもキャッシュが尽きる、いわゆる資金繰りがショートするといった事態は、しばしば起こりえます。

上記の事情に加え、多くの建設業事業者さまにとって、2023年はきわめて重大な局面です。ウクライナ情勢を受けた資材や原油価格の高騰、新型コロナ禍からの急速な経済回復に伴う人手不足。一方で、2023年4月からは中小企業の残業代割増措置、さらに2024年4月には、建設業でも時間外労働の罰則付き上限規制開始が迫っています(2024年問題)。

今後、建設業を取り巻く状況は、これまで以上に過酷になることは疑う余地がありません(参考記事:建設業の最新動向2023 ~倒産数増加をどう食い止めるか~)。そうした状況を踏まえ、政府は補助金/助成金に、多くの予算を割いています。どんな補助金/助成金があるのか? それらを如何に上手に活用するか? 2023年の建設業事業者にとって、必須の知識となることは請け合いです。

特に補助金は、交付を受けるために審査を通過し採択される必要があり、建設現場向きのものやバックオフィス向きのものと傾向が明確に分かれています。それぞれの補助金の特性と採択実績を押さえることは、審査通過するうえでまず必須のポイントです。

さまざまな外部要因によって業況が悪化した際、事業者の資金繰りを救済するための支援制度は数多くあります。新型コロナ禍の際などは、日本政策金融金庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付に代表される無利子・無担保のゼロゼロ融資に助けられた事業者さまも多くおられるのではないでしょうか。

ただ、無利子・無担保とはいえ、融資を受ければ当然、返済の義務が生じます。すでに述べたとおり、補助金や助成金の最も大きなメリットは、融資と異なり返済不要ということです。これを活用しない手はありません。

特に助成金は、審査を通過して採択される必要がある補助金と違い、条件さえ満たせば必ず交付されます。あとでご紹介するように、建設業向けにも多くの助成金が用意されていますので、条件を満たしているなら申請しないのは大きな機会損失といえるでしょう(!!)。

建設業向けオススメ補助金/助成金6選

では、さっそく建設業事業者さま向けに厳選した注目の補助金/助成金を6つ、順にご紹介します。

IT導入補助金とは?

まずご紹介するのは、補助金制度のなかでも例年ひときわ注目度が高い、IT導入補助金です。最大補助額450万円という比較的高額な補助額と応募のしやすさを兼ね備えた、非常にバランスのいい補助金です。

IT導入補助金は中小企業のIT化を促進するための制度であり、特に重視されているのは、クラウド環境の普及やインボイス制度への対応です。実際、これらに該当するシステムは審査について加点対象になる旨が明記されています。

BCPやインボイスへの対応が特に重要な課題となる建設業の事業者さまには、特におすすめの補助金といえるでしょう。

表2 IT導入補助金の分類
通常枠 課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助
セキュリティ対策推進枠 サイバー攻撃のリスク低減を図る取組みを補助
デジタル化基盤導入枠 会計システムや受発注・決済・ECソフトウェアなどによるデジタル化について補助

3つの枠が設けられていますので、課題に合ったものに申し込む必要があります(表2)。

建設業での採択事例

もともと建設業は紙依存の傾向が強い業界で、デジタル化については、他業界に比して大きな遅れがありました。ただ、深刻な人手不足や労働環境の問題から、近年、急速にDX(デジタルトランスフォーメーション)の波が訪れています。建設業事業者さまが採択事例に数多く名を連ねていることからも明らかです。

具体的には、業界特有の経理会計の複雑さ、現場に出入りする労働者の多さといった問題を受けて、クラウド型原価管理システムや積算システム、勤怠・労務管理システム導入などの採択事例が目立ちます。

その他、ERP導入によって会計管理や原価管理などの基幹業務のデータを一元管理し、劇的に業務効率を改善した事例も数多くあります。IT導入補助金を活用した建設業のERP導入事例については、下記資料をご覧ください。

IT導入補助金まとめ

主催 中小企業庁
主な要件 ITツールの導入による業務効率化
建設業での活用事例 原価管理・労務管理・会計など、バックオフィスの事例が多い
補助額 ~450万円
交付申請期間 2023年3月28日(火)受付開始~終了時期は後日案内予定

事業再構築補助金とは?

事業再構築補助金は、長期化する新型コロナウイルス感染症の影響で売上回復が期待しづらい中小企業支援を主眼とする補助金です。応募の要件としては、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の変革への対応をめざす事業者の新分野展開、事業/業種/業態転換、事業再編といった事業再構築への取組みが挙げられています。

IT導入補助金よりも多くの枠が用意されており、門戸が広いのも人気の理由。ポストコロナへの対応のみならず、昨今の物価高騰賃上げの機運を支援する枠もあり、特に最大補助額が5億円と高額であるサプライチェーン強靭化枠は、令和5年度の目玉となっています。

建設業での採択事例

事業再構築補助金の審査項目としては、先端的なデジタル技術や低炭素技術の活用が明記されており、第8回での採択事例に目を通すと、AI搭載建機やドローンを活用した測量など、現場での大胆なICT導入事例が目立ちます。また、建機の電化や建設発生土のリサイクル促進など、SDGsに配慮した取組みも好評価であったことがわかります。

事業再構築補助金まとめ

主催 中小企業庁
主な要件 新型コロナ禍による売上減少・物価高騰や賃上げへの対応など
建設業での活用事例 現場でのICT化やSDGsを意識した取組みの事例が多い
補助額 100万~5億円
交付申請期間 第10回は2023年3月30日(木)~6月30日(金)

ものづくり補助金とは?

働き方改革被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入と、近年続くさまざまな制度変更への対応は、多くの中小企業にとって大きな負担です。もともと労働時間が長時間化しやすく、一人親方問題など業界特有の問題を抱えがちな建設業では、その影響はなおさら深刻といえるでしょう。

そうした業況への救済措置として、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス/試作品開発・生産プロセスの改善など、生産性を向上させるための設備投資を支援する制度が、ものづくり補助金です。

ものづくり補助金も補助額が750万~4,000万円と非常に高額であり(最大4,000万円はグリーン枠)、他の補助金同様、例年、大きな注目を集めています。補助対象は、積極的な賃上げや付加価値額増大に取り組む中小企業・小規模事業者等です。

ものづくり補助金の基本要件

事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる。
同じく、事業場内最低賃金を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とする。
同じく、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させる。

建設業での採択事例

建設業事業者の採択実績も数多くあり、代表的なものでは、ICT搭載建機やドローン、3Dレーザースキャナ導入による現場での業務効率改善などが挙げられます。ざっくりとバックオフィス向けのソフト面であればIT導入補助金、建設現場でのハード面であればものづくり補助金の範疇と考えればよいでしょう

ものづくり補助金まとめ

主催 中小企業庁
主な要件 積極的な賃上げ等
建設業での活用事例 ICT搭載建機や三次元測量など、現場での生産プロセスにかかわる事例が多い
補助額 750万~4,000万円
交付申請期間 第15次は2023年4月19日(水)~7月28日(金)

働き方改革推進支援助成金とは?

ご存知のように、2023年4月から中小企業でも時間外労働の割増賃金増額が適用されており、人手不足に悩む中小企業にとっては、看過できない大きなコスト要因となっています。そうした事情を鑑み、厚労省は労働時間の削減や年次有給休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業を支援する制度を併せて設けました。それが働き方改革推進支援助成金です(参考記事:2023年4月、割増賃金引き上げへ! 事業者が対応すべき3つのポイント)。

建設業での活用例

労働時間の削減には、まず、従業員の労働時間を正確に把握することが不可欠です。ただ、現場に多くの労働者が出入りする建設業では、労務管理は煩雑になりがちで、けっして容易ではありません。

建設業での同助成金の活用例としては、労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新などが考えられます。いずれも助成金の対象経費です。

建設業におすすめ、初期設定費用0円、月額 300円/1人で使用できるクラウド勤怠管理システム

働き方改革推進支援助成金まとめ

主催 厚生労働省
主な要件 時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組むこと
建設業での活用例 労務管理用ソフトウェア導入など
補助額 最大730万円
交付申請締切 2023年11月30 日(木)

建設業における女性労働者確保に向けた取組み

女性建設技術者

もともと男性の職場というイメージが強かった建設業ですが、2014年(平成26年)に国土交通省がもっと女性が活躍できる建設業行動計画を策定して以後、官民挙げて女性の積極採用が進められています。2020年(令和2年)には、後継となる女性の定着促進に向けた建設産業行動計画が策定、引き続き、業界における多様性の確保をめざしている最中です。

国土交通省の統計から推計すると、建設業における女性比率は約13%。現場作業に携わる数は、当然ながらもっと低くなります。一方で、女性技術者数は、2014年の1.1万人から2018年には1.8万人へと1.64倍に、女性技能者は8.7万人から10.4万人へと1.19倍に増加しており、取組みのたしかな成果が窺えます。

技術者技能者の違い

建設業において、技術者とは監理技術者や主任技術者といった現場管理者のことです。対して、技能者は実際に現場で作業をする職人を指します。

そうした取組みを支えるべく、建設業の女性入職者増加と定着をめざした助成金が用意されています。その代表が人材確保等支援助成金トライアル雇用助成金です。

人材確保等支援助成金――若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)

労働環境の改善を図り、人材確保と定着をめざす事業主を助成する制度です。ご存知のように、建設業では現場労働者の高齢化・新規入職者の減少が深刻な問題となっており、若年者や女性労働者の受け入れ態勢を整えることは喫緊の課題とされています。

そのために期待されている制度が、同助成金です。助成対象としては、現場見学会やインターンシップ、研修あるいは教育訓練などが挙げられます。

トライアル雇用助成金――若年・女性建設労働者トライアルコース

トライアル雇用助成金は、職業経験の乏しさから安定的な就職が困難な求職者を、ハローワークや職業紹介事業者の紹介により一定期間、事業者が試行雇用した際に支給されるものです。求職/求人者の相互理解を促進することで、雇用機会の創出を図ることを目的としています。

35歳未満の若年層、あるいは女性を対象として試行雇用を行った場合、1人あたり最大4万円/月×3カ月がトライアル雇用助成金に上乗せされます。

いずれの助成金も、提出期限・記入方法などについては、最寄りの都道府県労働局またはハローワーク(公共職業安定所)にご確認ください。

建設業の補助金活用事例集

以上、数ある補助金/助成金のなかから、建設業の事業者さまに特におすすめのものを6つ、厳選してご紹介しました。

政府が主導する働き方改革を進めることは、労働者のことを思えば当然、必要です。ただ、現実問題として経営面での深刻なコスト増は避けられないでしょう。資材や燃料価格の高騰も終わりがみえない昨今、頭を抱える事業者さまも多くおられる筈です。

ただ、建設業は日本経済の屋台骨を支える基幹産業であり、インフラや人びとの生活、安全を守るためにも、灯を絶やすことはできません。そのためには、若年世代を育て、産業とともに成長させる必要があることは議論の余地がないでしょう。数ある産業のなかで、政府が建設業の支援に特に注力しているのは、そのためです。

すでに多くの建設業事業者さまが、補助金や助成金を賢く活用して、苦境を乗り越え、大きなビジネスチャンスに変えています。今回、建設業における補助金活用事例をご用意しました。バナーより無料でダウンロードいただけますので、本稿と併せて、ぜひご活用ください!

DL資料

よくある質問

Q補助金について返還が求められるケースがあると聞きました。そうした例として、どんなものがありますか?
A虚偽の申請、補助金の目的外利用や受給額の不当な釣り上げ、関係者へ報酬を配賦するといった不正行為が判明した場合、交付規程に基づき交付決定取消/補助金交付済みの場合は加算金を課したうえで返還を求められます。
Q事業実施期間内や事業終了後、補助金の補助対象でなくなった場合、補助金を返還することになりますか?
A事業実施期間内に大企業になった等の事情で補助対象者の要件を満たさなくなった場合には、補助金が支払われません。ただ、事業終了後に大企業になった等で要件を満たさなくなった場合であれば、返還の必要はありません。

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