株式会社岸本組
- 事業内容
- 道路新設・拡幅工事
橋梁等工事
地すべり対策工事
橋梁補修工事 - 設立
- 1939年
- 資本金
- 4,500万円
- 社員数
- 33名(平成28年4月現在)
- 本社所在地
- 北海道美唄市字光珠内652-17
システム導入の課題
- 予算と原価管理が連動していない。
- データの閲覧者数に制限がある、各PCの予算ソフトの書式設定や項目表現の差による実行予算書の個人差が拡大。
- 本社管理部以外は、集計データを紙ベースでしか確認できない。
- 現場と本社での請求管理に重複部分が存在。
- Excelは個々で書式・様式等を自在に変更し、様式のバラツキ化。
- 現場が本社集計を頼りがちになっている。
- 現オフコンは30年程度使用しており、内外部の管理担当者を必要としている。
導入の背景
実行予算と原価管理が連動しておらず、現場と本社間での重複作業も発生、原価管理の強化を目指して
岸本組様は、官庁発注の土木工事をメインとする北海道の建設会社さまです。
優良工事施工業者として全国建設業協会などから数々の受賞暦もお持ちです。
以前より、経理のご担当者様から現状課題などのお話しを伺っておりましたが、 3~4年前ほどからは原価管理のシステムをご検討されていました。
その際、社長の岸本様と常務の坂下様へ弊社のPROCES.S(プロセス)での現場側の原価管理についてのご提案をさせていただきました。
稼働して3年目でのお話をお聞きしました。
▲株式会社岸本組 常務執行役員
施工管理部長 坂下 修一 様
当社からのご提案は、現場側の原価管理を全社統一する「統一化・標準化された原価管理システムの構築」でした。
システムの検討経緯、弊社からの提案内容、システム選定のポイント、運用フロー、導入時・導入後の苦労、導入における効果について、常務で施工管理部長でいらっしゃいます坂下様に直接お話し頂きました。
システム導入前の運用状況
実行予算については、各現場代理人のノートパソコンにインストールされた市販のソフトを使用して作成していました。
ただ、それについては1台あたりいくらという費用がかかる契約となっており、社員全員に入れるわけにもいかず、各現場、年度毎に担当者が変わるたびにその作動キーを解除したり、入れたり、そのデータを社員全員が見ることはできませんでした。絶えずデータの閲覧者に制限のある状態でした。
本社では現場で作成した予算ソフトの圧縮や退避したデータを送ってもらい、解凍したものを取り込んで、予算書を確認するという形になっていました。
原価管理については、現場代理人がエクセルを使用した請求書集計と以後見込みの管理運用でした。
それに対して管理部はオフコンを使用して本社に届く請求書を集計し、それを紙で出力してファイルにとじて保管していました。
本社全体としては現場からの請求書集計と以後見込みのエクセルデータを見る。
さらに管理部の紙出力した資料を見比べて差異を確認するような形で運用していました。
実行予算
- 現場代理人 :PCにインストールされたソフト(1台○万円)使用して作成
- 本社 :ソフトにデータを取り込み予算書を確認
原価管理
- 現場代理人 :Excelを使用した請求書集計と以後見込みの管理
- 管理部 :オフコンを使用した請求書集計を紙で出力し保管
- 本社 :上記両方のデータを確認
新システムの導入目的
①手順の整理、時間の削減
旧システムの実行予算というのは現場代理人が作成して、そのデータを何らかの形で管理職に渡して、それをインストールしてから確認する。
さらに役員に確認していただく。さらにそれを社長決裁します。
社長決裁後に管理部はやっとオフコンに予算報告をするという流れです。
原価報告については現場代理人が当然データを集計して整理しているんですが、それを外注出来高調書、原価報告書という、エクセルで当社独自の形で工事管理職に提出・報告をして、さらに役員の確認、社長への報告という形になっています。
管理部の請求集計をその時に同時に確認して、役員以上の報告確認という形になっています。
②原価計算(集計)より原価管理に重点
現場側が、常に忙しいという理由もあるのですが、これまでは「原価が毎月分かればいいや」、「その月で幾らかかっている。それを報告すればいいや」という傾向が少し強くなってきていました。
工種単位よりも支払い先単位で集計をして、それを原価合計にして幾らかかっていますという形の報告や、見込みについても大ざっぱな形になっていました。
それを工種単位を優先にして、どこでどれだけ費用が掛かったか、どのようにしたらいいかというものを考えるように導きたいという目的になっています。
導入のポイント
システム選定の理由
積算システムデータ→実行予算→原価管理までクラウドで全社員が即時に共有可能
- システム1本化により、本社と現場の請求書入力の重複管理を排除。
- 途中経過の把握が可能。
- データ蓄積
積算工種・明細の項目を原価管理まで一連している
従来は、工種・明細の管理項目をExcelに入力しアレンジ可能。
現行の手法を基にカスタマイズが可能
システムの運用
システム運用フロー
実行予算からの運用フローについてご説明します。
当社では施工管理部、資材部、管理部がPROCES.Sに関係する部門になります。
積算については他社システムを利用しております。
基本的に、入札前に積算して予算を組み、入札金額に臨むのが望ましいのでしょうが、調査基準価格の競争や、入札までの期間に間に合わない等事情もあり、現実的には概算の過去データ、大まかな条件によって概算の予算を組み、入札金額を決めて入札をしています。
受注後に実行予算を動き出させるという形になっています。
積算して入札した結果、受注できた場合は、「工事登録」からPROCES.Sの稼働になります。
工事登録画面というのは、主に工事概要の入力画面になります。
工事登録を本社で入力して、現場の次の予算を作成していく最初の段階となります。
工事登録ができたら、予算工事入力、積算取り込み、予算工種入力、実行予算書の作成という形で、ここからは現場サイドの作業となります。
予算工事入力は概要等、大まかな補足説明等を入力する画面になっています。
積算取り込みという形でガイアのデータをそのまま取り込み、予算工種入力ができます。
設計書の項目どおりPROCES.Sに取り込めるので、そのままの工種に対して予算を入力できます。
共通仮設費や、現場経費についても同様に入力していきます。
予算工種入力が終わりましたら実行予算書が出来上がる形です。
実行予算書の一番上が鑑になっており、粗利益として出てきます。
その他の内訳説明で集計表、明細書、内訳などが表示されます。
資材部のほうもガイアからのデータで資材を発注するための見積もり一覧を作成して業者を選定して、価格・資材単価が決まった時点で資材部のほうでPROCES.Sの単価入力をする形になっております。
実行予算
次に、実行予算作成後の発注についてです。
発注については大まかに資材の発注と外注の発注という形で運用しています。
資材の発注の場合には、発注選択という項目で、この工事でこの材料が全部で数量いくらというように資材を一括集計して、それをどこの業者に発注するという選択をするページになっています。
資材のほうはいろいろ発注していく中で、今後の予算を作成するのに経験の浅い現場代理人でも単価の妥当性を判断するための指標となるデータベースを増やしていく形になっています。
発注
発注選択が現場のほうで終わりますと、発注入力、発注書の形式を作成する段階になります。
これもPROCES.Sで発注入力をして注文書、注文請書まで発行できる形になっております。
発注入力をして、サイボウズを併用してその注文書を発注伺いとして上の社長まで上げていく形です。
その承認後、管理部が注文書を発行するという形になります。
原価管理につきましては施工管理部と管理部が関わってくるので、資材部については原価管理には直接は関わらない形になっております。
外注出来高査定もPROCES.Sの画面で工種の出来高を毎月入れていって、パーセントもしくは金額を入れていくことにより原価が集計されていくという形です。
まとめたものが外注出来高内訳表という形になります。それが画面上、エクセルでも出力される確認の様式があります。
今後の支出、今後見込みの入力については、請求書入力した後に今後の見込み、達成見込みを入力して、予算に対してあと幾らぐらいかかってしまう、もしくは予算がこれだけかからないで、これだけ残すことが可能とかいうことを入力できる画面となっております。
原価管理
システム導入の効果
ほかのデータや進行状況閲覧による原価管理意欲の向上ですが、これは先ほども言った、現場の人間がデータを見られるのがありがたいと言っているのもあるんですが、良い意味での競争心が発生しているのが明らかに見えているのが現実です。
若い世代の人は当然、新システムということで「こんな新しいシステムは年寄りには使えないだろう。自分たちのほうがすぐに使える」という順応力をアピールしているのが現実です。
年配者は当然、若い人には負けられないという形で、若いやつがやっているなら、あまり苦労を見せないような形でどうにか使おうという努力をしているところです。
※掲載内容は取材時点のものです。