Excelによる原価管理がPROCES.Sで一変 業務量削減と、工種別管理による効率化に成功

  • 荒井建設株式会社
総合建設業

荒井建設株式会社

事業内容
総合建設業(土木・建築)
創立
1894年(明治27年)11月1日
資本金
1億円
社員数
190名(2023年4月1日現在)
本社所在地
北海道旭川市4条西2丁目2番2号
Webサイト
https://www.araikensetsu.co.jp/
導入システム
建設業ERPシステムPROCES.S

北海道第二の都市・旭川市に本社を置く荒井建設株式会社。戦前の1894年(明治27年)に創立し、2024年には創立130年を迎える歴史と伝統を持った会社。土木・建築、舗装ほか建設物の施工、企画・設計、工事監理などを展開。札幌と東京に支店、函館と道東(釧路市)に営業所を置くほか、6つの関連企業を擁し、ホテル事業や不動産事業なども手掛けている。

荒井建設株式会社 オフィス外観
△ 荒井建設株式会社 オフィス外観

強みは、創業者・荒井初一氏の教えである「地域への感謝と奉仕の精神」に基づいた事業展開。創業以来、トンネルや道路、鉄道、上下水道などのインフラ整備、公共施設やオフィスビル・マンションなどの建設、農林水産業の基盤整備などを幅広く担っている。近年では、北海道新幹線や高層マンション・小中学校校舎など。これらを通して、地元・道北地域をはじめとした人々の生活向上、経済発展に貢献している。

荒井建設株式会社は、土木部での実行予算作成や原価管理をExcelで行っていたため、現場の負担が大きく、違算も多いことに課題を感じていました。また、現場の実情に即した工種別の原価管理も難しかったため、システムの導入を検討。すでに経理部で導入していた内田洋行ITソリューションズ(以下、ITS)の建設・工事業ERPシステム「PROCES.S」を選択しました。導入後は、業務量の削減や違算撲滅に成功。工種別の原価管理が実現し、推定原価算出の正確性も向上しています。

左:橋梁 真ん中:教育施設 右:鷹栖東神楽線
△ 左:橋梁 中央:教育施設 右:鷹栖東神楽線
分譲マンション
△ 分譲マンション

システム導入の課題と効果

導入前の課題

  • 実行予算の作成から月々の原価管理まで、すべてExcelで対応
  • さらに、出力後に電卓で再計算を行っていたため、大きな業務負担になっていた
  • 現場で必要な工種別ではなく、要素別の原価管理しかできなかった

導入後の効果

  • アナログ作業がなくなり、業務量が3割程度削減。違算も限りなく少なくなった
  • 工種別の原価管理が実現。実行予算をさまざまな切り口で分析できるように
  • 原価管理にとって重要な、推定原価算出の正確性も着実に向上

導入の背景

Excelと手計算による原価管理が大きな負担に
工種別管理も困難だった

PROCES.Sを導入しようと思った背景を教えてください。

当社では、2004年から経理システムとしてPROCES.Sを導入していました。それをさらに拡大し、現業部門である土木部でも活用しようということになったのです。

土木部では、実行予算の作成から原価管理まで、すべてExcelでまかなっていました。各現場の所長が作成したExcel書式を一度プリントアウトして、数式の入れ間違いがないか、電卓で再度計算。二重・三重の手間がかかっていました。これが非常に現場の負担になっており、違算も少なくなかったため、なんとかシステムを導入したいという思いがありました。

また、当時は工事原価の管理が原価要素別になっていました。現場で必要なのは、あくまでも工種別の管理。それが全くできない状態だったのも課題となっていました。

導入のポイント

カスタマイズの自由度が導入の決め手に

導入にあたり、特にどのような点を重視されましたか? また、「PROCES.S」を選んだ決め手は何でしたか?

現業と経理の業務を軽くするという導入目的の下、ベンダー企業とシステムの信頼性を重視して検討しました。その点、経理部で長きにわたって利用していたITSのPROCES.Sは信頼性が高かったですね。PROCES.S以外は考えられませんでしたし、実際他のシステムの検討はしていません。

ITSからは2回のプレゼンをしてもらいました。決め手となったのは、カスタマイズの自由度が高いこと。実行予算と原価を連動できることがわかったので、間違いなく業務の負担を軽減できると確信しました。

PROCES.Sの導入を決めてから運用を開始するまでの流れと、ITSに相談して実現したことを教えてください。

2015年末にキックオフを行い、19項目のカスタマイズを決定。完成したものから順次運用テストを行い、不具合への対応や仕様変更を重ねていきました。2017年の春から、試験的に4つの現場で運用をスタート。翌年も別の4現場で試験運用を行い、十分にブラッシュアップを行ったうえで、2019年から全現場での本格運用に踏み切りました。

カスタマイズでは悩んだ部分もありました。例えば、工種の付番方法。土木工事は現場によって工種名が異なることから、その数は膨大で、なかなか統一化できない難点がありました。どのように工種コードを付け、私たちが必要としている出力帳票に収めていくか、ITSの担当者と何度も打ち合わせを実施。結果として、自動付番にするカスタマイズの提案をいただき、解決することができました。

導入の効果と今後の展開

業務量カットと違算撲滅に成果
工種別管理により原価推定の正確性もアップ

実際にPROCES.Sの運用を始められてみて、いかがでしたか。

導入当初は操作に慣れず、抵抗感を持つ社員もいましたが、私たちが個別に指導を行ってフォローしました。また、試験運用を経験した所長たちが「PROCES.Sで原価管理が楽になった」など、ポジティブな口コミを広げてくれたため、徐々にシステムに好意的な社員が増加。3年目を迎えるころには、PROCES.Sが業務効率化に役立つことを社員が完全に理解し、業務に「無くてはならない」存在になりました。

本運用に入った後も、「さらに使いやすくしよう」「いいものにしていこう」という機運が高まり、社員の要望をもとに3回ほど仕様変更を実施しました。

PROCES.S導入の成果はいかがでしょうか。

書類を旧来の書式に限りなく近いものにカスタマイズしていただけたのは良かったですね。システムの入力画面もわかりやすく、現場社員もなじみやすかったと思います。

業務効率も向上しました。以前Excelに入力・プリントアウト・チェックを行っていたのと比べると、業務量は3割程度削減。今はPROCES.Sへの入力さえしっかり行えばその過程は自動計算となり、違算もなくなりましたね。

原価管理にプラスになったのはどのような点でしょうか。

カスタマイズにより、Excelでは不可能だった実行予算を複数の切り口で分析するシステムを作れたのは大きな成果です。発注者から提示された設計書通りに実行予算を組んで、積算の金額と比較し、予算の多寡が工種単位でわかるように。さらに外注関連のデータを紐づけて抽出することも可能になりました。工種ごとに原価管理できるしくみが整ったことで、現場にも受け入れられました。

そして原価管理で最も大切なのは、最終推定原価をいかに正確につかむかということです。以前は要素単位での原価管理だったため、あまりうまくいっていませんでした。PROCES.S導入後は、推定原価算出の正確性が着実に向上しているので、助かっています。

ITSの担当者には、どのような印象をお持ちですか?

ITSの営業担当者とは、もう10年のお付き合いですが、ビジネスライクではないフレンドリーな関わり方をしていただいています。また、担当SEの方は以前建設業に勤務していた経験を持ち、業界独特の事務処理方法や勘定科目に精通。私たちが求めていること、言いたいことを瞬時に理解し、適切な方向に導いていただけたと思っています。

本運用に至るまでは大変な時期もありましたが、ITSの担当者と二人三脚で進められたので、最良なシステムが構築できました。本当に心から感謝しています。

今後、PROCES.Sをどのように活用していきたいですか?

今回のPROCES.S導入は、時間外労働の削減に大いに役立っています。また、これからPROCES.Sがさらにブランドとして認知されれば、それが若手・技術人材不足の解消にもつながってくるのではないでしょうか。

PROCES.Sについては、2024年をめどに建築部にも導入する準備を進めています。全社的に活用することで、さらなる働き方改革、ペーパーレス化・電子化を包括的に進めていきます。

※掲載内容は取材時点のものです。

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