水道機工株式会社
- 事業内容
- 上下水道施設及び環境保全・衛生施設の設計・施工・監理ほか
- 設立
- 1936年(創業 1924年)
- 資本金
- 19億4,700万円
- 社員数
- 856名(2024年3月現在・連結)
- 所在地
- 東京都世田谷区桜丘5-48-16
- Webサイト
- https://www.suiki.co.jp/
- 導入システム
- 建設業ERPシステムPROCES.S
日本の水道分野におけるリーディングカンパニーである水道機工株式会社は、2024年で創業100年を迎えた。凝集・沈澱・ろ過をはじめとした基本技術から高度処理、施設の運転・維持管理に至るまで、浄水プロセスのトータルエンジニアリングを提供。2004年からは、東レグループの一員となり、幅広く事業を展開している。
豊富な経験と確かな技術を背景に、上下水道、汚泥再生処理、廃棄物浸出水処理などの公共水処理分野で多数の実績を持つ同社。産業用水・廃水分野でも、製品の生産に用いる水の製造、生産活動で生み出される廃水の浄化・再利用のための設備を提供している。また周辺事業として、水処理で使用される薬品や排水・汚泥の処理剤の製造など、新しい分野にも進出している。
△ 令和6年能登半島地震での災害復旧支援活動
△ 浄水場高度浄水処理設備導入
水道機工株式会社は長年、社内SEによる内製でオフコンによるシステムを運用。並行して使用していた販売管理など複数のシステムとの連携が不十分だったほか、業務の属人化や社内リソース不足といった課題に直面していました。これらを解決するために、新システム導入を検討し、最終的に内田洋行ITソリューションズ(以下、ITS)の建設・工事業ERPシステム「PROCES.S」を選びました。導入後は入力作業分散化により経理部門の負担が軽減されたほか、業務の標準化・効率化が進展。ITSのサポートで、バージョンアップや人事給与など他のツールとの連携もスムーズに行うことができました。
システム導入の課題と効果
導入前の課題
- システムへのユーザの要望が多様化する中、対応する社内リソースが足りなかった
- 情報システム部門の業務が属人化し、SE間のノウハウの共有も十分ではなかった
- オフコンと販売管理など複数のシステムとの間で、データが有機的につながっていなかった
導入後の効果
- 入力作業が各事業部に分散し、経理部門の負担が軽減
- プログラミング業務がなくなり、情報システム部門の業務属人化が解消
- 工事原価のスピーディーな把握が可能になるなど、業務効率がアップ
導入の背景
ユーザの要望や用途が多様化する中、システムの内製に限界を感じていた
PROCES.Sを導入しようと思った背景を教えてください。
新システム導入を検討し始めた2011年当時、当社では社内SEがプログラムを組んだオフコン をメインで利用していました。当時のシステムにはいくつかの問題点がありました。
まず、「各案件の工事原価をリアルタイムで把握したい」「事業損益予測や決算業務の効率化・早期化を急ぎたい」など、システムへのユーザ側の要望や用途がどんどん多様化していく中で、それに対応するリソースが足りていませんでした。
システム運用も属人化していました。「あの機能は〇〇さんがつくったから、彼じゃないとわからない」という状態。情報システム部門の中でのノウハウの共有も十分とは言えませんでした。
オフコンと並行して使用していた販売管理など複数のシステムとの間で、データが有機的につながっていなかった点も挙がります。例えば、販売管理システムのデータをオフコンに反映させるには、CSVに一度データを落としてから夜間バッチ処理で流し込むため、データ更新にタイムラグがあり、非効率でした。
このため、システムを標準化して、多くの業務を広くカバーしてくれる市販のERPシステムに移行することにしたのです。
導入のポイント
12の候補から、必要な機能とコストパフォーマンスを兼ね備えたPROCES.Sを選んだ
導入にあたり、複数のシステムを検討されたかと思いますが、とくにどのような点を重視されましたか?
システムの選定にあたっては、まず12社のパッケージを候補に挙げました。重視していたのは、当社の業務をカバーしてくれる必要十分な機能を有しているか、その機能に見合った高いコストパフォーマンスが得られるかという点です。
当時の課題だった工事の原価管理など、建設業務のための機能が不足しているシステムや、当社の規模や業務に見合わない高額なものを候補から外し、最終的にPROCES.Sを含む3つのシステムに絞りこみました。
「PROCES.S」を選んだ決め手は何でしたか?
PROCES.S以外の2つのシステムは大手ベンダーのパッケージで、十分な機能と拡張性を備えていました。一方でPROCES.Sは、それらよりも相対的に機能はシンプルでしたが、最低限当社が「やりたいこと」ができる、適合性のあるシステム。価格面でも他の2つより優れていました。
同じ価格帯の他のシステムと比較しても一番機能が充実していましたし、必要な機能が揃っているのにコストパフォーマンスが良いという点で、PROCES.Sの導入を決定しました。
PROCES.Sの導入を決めてから運用を開始するまでの流れと、ITSに相談して実現したことを教えてください。
2011年の5月からプロジェクトがスタートし、年末までに要件定義・設計を実施。年明けからプログラミングとテストを行い、運用テストやリハーサルを経て、2013年4月から本格運用開始となりました。
PROCES.Sは建設業向けのシステムですので、基本的にはあまりカスタマイズをせずに導入する方針でした。ただ、当社は薬品注入装置などを製造する工場(プロダクトエンジニアリングセンター)を有しており、生産管理や在庫棚卸など製造業向けの機能も必要です。ITSのエンジニアにはその点を説明し、何度も工場に足を運んでいただいたうえで、カスタマイズを行いました。
△左から、グループ経理部 経理1課 課長 熊谷 治彦 様、総務部 情報システム課 課長 藤川 陽一 様
導入の効果と今後の展開
丸一日かかっていた月次入力作業が解消 PROCES.Sで業務の標準化・効率化が進展
実際にPROCES.Sの運用を始められて感じたことや、得られた成果について教えてください。
成果の一つは、経理部門の負担が軽減された点です。オフコン時代は、購買の請求書や売上計上まで、入力作業はすべて経理が行っていましたが、PROCES.S導入により各担当事業部で分散入力ができるようになりました。また、現金手渡しだった経費精算も、導入を機に口座振込に移行しました。
かつて2人で丸一日かけて行っていた月次の入力作業がなくなり、導入後は1人の担当者が1時間程度チェックを行うだけになりました。多い時は8人いた経理メンバーも、現在は6人で賄えるようになっています。
もう一つは、業務を標準化できたことです。オフコン時代のように、他の人が書いたコードを一生懸命解読しながらプログラミングすることがなくなり、情報システム部門の業務の属人化が解消。ほかの業務にも時間をかけられるようになりました。
各事業部からPROCES.Sへアクセス・入力できるので、課題だった工事原価の把握もリアルタイムでできるように。また、製造部門向けのプログラムもきちんと要件定義・設定をしていただけたので、PROCES.Sで業務の流れが見えやすくなり、業務効率化につながりました。全体を振り返って、PROCES.Sによって従来抱えていた課題は解決できたと考えています。
2021年からはPROCES.Sのバージョンアップも実施。これを機に、AWSを使ってグループ共通のサーバ環境に移行しました。ITSに相談し、要件定義や基本設計を行い、年明けから開発をスタート。2023年8月に本稼働となりました。以前は自社内のサーバルームに設置していたので、空調管理や落雷時の瞬間停電への対応など、常に気を配らなければなりませんでした。場合によっては休日に出社することもありましたが、その心配もなくなりましたね。ユーザにとってもほとんど今までどおりに使える形でバージョンアップできたのはよかったと思っています。
ITSの担当者には、どのような印象をお持ちですか?
ITSの担当者は、PROCES.Sそのものへのサポートはもちろん、人事給与など外部システムとの連携についても親身になって対応してくれます。トラブルのたびに相談をするのですが、すぐに連絡がついてスピーディーに応じてもらえるので、助かっています。
また、四半期決算のときも半日にわたって立ち会っていただき、作業を滞りなく進められました。こうした小回りのきくサポート体制を、ぜひ今後も続けていただければありがたいですね。
今後、PROCES.Sをどのように活用していきたいですか?
今後は、電話やFAXによる受注をできる限り減らしていこうと考えています。代理店様だけが使えるECサイトを構築し、その受注データをPROCES.Sに連携させるしくみを作成中です。そのほかにも、請求書電子化ツールとの連携も検討しているので、引き続きITSに協力していただけたらと思います。
△左から、総務部 情報システム課 課長 藤川 陽一 様、グループ経理部 経理1課 課長 熊谷 治彦 様